カーボンニュートラルの実現に向けた、国内外の取り組み事例

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2022年04月27日(水)掲載

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カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにする取り組みを指します。

近年、世界各地で洪水や干ばつが発生し、気候変動対策の重要性が高まる中、カーボンニュートラルの実現に向けた企業事例も増えています。

国内外の企業はどのような取り組みを通し、カーボンニュートラルの実現を目指しているのでしょうか。

企業の取り組み事例につき、カーボンニュートラルの概要や多くの企業が直面している課題とあわせて、詳しく解説します。

カーボンニュートラルへの取り組みが、企業活動に与える影響

近年、世界各国でカーボンニュートラルを目指す動きが加速するなど、気候変動問題への対応を経済成長の機会として捉える、新たな時代が到来しています。

日本も例外ではなく、日本政府が2020年10月の臨時国会において、「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と宣言したことは記憶に新しいかと思います。

時代の要請として、企業においてもカーボンニュートラルの実現に向けた積極的な取り組みが求められる中、多くの企業で経営ビジョンの刷新や目標達成に向けた動きが活発化しているのです。

カーボンニュートラルを宣言した企業のブランド価値が向上するなど、カーボンニュートラルへの取り組みが企業活動に与える影響は大きく、参画企業の増加を後押ししています。

多くの企業が直面している課題

カーボンニュートラルに向け、多くの企業が直面している課題につき、以下にご紹介します。

再生可能エネルギーの利用拡大

再生可能エネルギー(以下、再エネ)は、資源に限りのある化石燃料とは異なり、太陽光・風力・地熱発電、水素エネルギーなど、一度利用しても比較的短期間での再生が可能であり、資源が枯渇せず繰り返し利用できるエネルギーを指します。

日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル、その中間指標である2030年温室効果ガス46%削減目標(※)の実現には、再エネの利用拡大が不可欠です。

現在、投資家や取引先から再エネの導入を求められるケースも増えており、再エネの利用拡大は多くの企業にとって避けられない経営課題になっています。

※出典:環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html)

省エネルギーの推進

省エネルギー(以下、省エネ)は、石油・電力・ガスなどの限りあるエネルギーを効率的に使用することを指す言葉です。

節水や節電などは、意識次第ですぐに取り掛かれることもあり、省エネの推進は、持続可能な社会を実現させるために企業に課された重要課題であるといえます。

特に工場や商業施設からの温室効果ガスの排出量は依然多い状況にあり、多岐に渡る業界で、省エネ施策への積極的な取り組みが求められています。

ゼロエミッションの推進

ゼロエミッションの推進とは、資源の再活用や排出量削減を通じて、企業活動などから発生する廃棄物を限りなくゼロに近づける活動を指します。

循環型社会の実現に向け、企業による積極的なゼロエミッションの推進が必要とされています。

また、ゼロエミッションの取り組みの一つに、カーボンリサイクル(CO2を資源として捉え、分離・回収の上、さまざまな製品や燃料に再利用することでCO2の排出を抑制する取り組み)があります。

CCS(排ガスから二酸化炭素を回収・貯留する技術)をはじめ、近年DACと呼ばれる二酸化炭素を空気中から直接回収する先端技術も登場するなど、カーボンリサイクルの推進は、脱炭素の切り札として注目を集めています。

日本の取り組み事例

カーボンニュートラルの実現に向けて、企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

はじめに、日本企業の取り組み事例を4つ、ご紹介します。

大手自動車メーカーの事例

大手自動車メーカーのA社は脱炭素社会の実現に向け、中長期なビジョンを掲げた上で、新車から排出される走行時のCO2の大幅削減に取り組んでいます。

具体的な施策として、利用者の利便性とCO2排出量の削減を同時に目指せる商品開発や、電気自動車(EV)・ハイブリッド車(HV)・燃料電池自動車(FCV)などの、ラインナップ増加への注力があげられます。

大手エンジニアリング企業の事例

化学プラントなどに関わるエンジニアリング事業を手掛けるB社は近年、脱炭素化事業を推進する専門組織を業界に先駆け新設しました。

B社は専門組織の設立を通し、低環境負荷エネルギーへの転換分野での取り組みを加速させるなど、脱炭素化への市場ニーズに応える組織体制の構築に成功しています。

大手メーカーグループの事例

大手メーカーのCグループでは日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」と足並みを揃えるように、2050年に向けた環境対策の長期ビジョンを策定しました。

具体的な施策として、事業活動における再エネ設備の導入や、温室効果ガス削減が期待できる製品・サービス創出への注力などがあります。

また、省エネ設備の投資にも力を入れるなど、Cグループはカーボンニュートラルに向けた取り組みを、企業経営の最重要課題の一つに位置付けています。

大手不動産グループの事例

不動産事業を手掛ける大手Dグループも、脱炭素社会の実現に向け、2050年度までのロードマップを策定しています。

温室効果ガスにおける排出量削減率の大幅な引き上げを目指し、国内施設のZEB・ZEH(※)化に向けた取り組みを推進している点は、同業他社との差別化に寄与しています。

※建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと

海外の取り組み事例

続いて、海外の取り組み事例につき、4つご紹介します。

大手アパレルメーカーの事例

米国の大手アパレルメーカーE社では、CO2排出の大半がサプライチェーンや素材製造に起因しているとの危機感から、サプライヤーのCO2排出量削減の支援に注力している点が特徴です。

工場内外での再エネの導入をはじめ、CO2排出量の監査を担当するパートナー会社への積極的な資金融資などが、具体的な施策としてあげられます。

飲料チェーン事業を手掛けるグローバル企業の事例

多くの国々で飲料チェーン事業を手掛けるグローバル企業のF社は、カーボンニュートラルに向け、製品原料の加工過程で使用する水の量を、今後10年以内を目途に大幅削減する目標を策定しています。

またF社は、CO2排出量削減に向け、生産者と連携し最先端の農業ツールを導入するなど、業界に先駆けた取り組みも推進しています。

大手家具メーカーの事例

ヨーロッパの一国で家具製造を手掛けるG社は、広大な森の中に、「地球にやさしい」自社工場を建設しました。

G社工場の屋上には膨大な数の太陽光発電パネルが設置され、従来型の工場と比較し、圧倒的に少ないエネルギー消費量での工場運営を実現させています。

公共プロジェクトの事例

カーボンニュートラルに取り組んでいるのは、なにも企業だけではありません。

英国のとある地区では、地下鉄排熱の利用が進められています。

地下鉄で発生した大量の熱を、住宅やオフィスの暖房用に活用するこの取り組みは、炭素排出量と暖房費の削減の双方を実現できるとあり、多くのメディアで取り上げられました。

まとめ

現在、多岐に渡る業種で、カーボンニュートラルへの取り組みが加速しています。

今後、取り組みを推進していない企業は、ステークホルダーからの理解や信用を得られず、事業運営が厳しくなっていくことが予想されます。

国際的な潮流に乗り遅れないよう、今後カーボンニュートラルへの取り組みを積極的に検討されている企業様におかれましては、中長期的なビジョンやロードマップを策定の上、できるところからスタートさせていきましょう。

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