O2Oとは?事例やオムニチャネルとの違いを徹底解説
2022年05月06日(金)掲載
スマートフォンの爆発的な普及や各種SNSの登場により、「O2O」と呼ばれるマーケティング施策に企業の注目が集まっています。
O2Oとはどのようなマーケティング施策なのか、なぜ注目を集めているのか、導入メリットや企業の取り組み事例とあわせて解説します。
O2Oとは
O2Oとは「Online to Offline」の略語であり、オンラインからオフラインへ購買行動を促進させるためのマーケティング施策です。
施策の詳細は後述しますが、代表的なものとして、SNSでの情報発信やクーポンの配布、スマートフォンのGPS機能を活用したプッシュ通知などがあげられます。
オムニチャネルとの違い
O2Oと混同されやすい用語にオムニチャネルがあるため、違いを説明します。
いずれもオンラインとオフラインを連携させて購買活動を促進させるマーケティング手法ですが、両者には目的の違いがあります。
O2Oは、オンラインからオフライン(店舗など)へ誘導することを目的とする一方、オムニチャネルではオンラインとオフラインを明確に区別せず、顧客にとってより便利かつシームレスな購入体験の提供を目的としています。
O2Oでは新規顧客を獲得しやすく施策の成果が出るまで即効性がある点が、オムニチャネルではチャネルの連携により顧客との関係性を深めやすく、リピーター獲得など長期的な集客体制を構築しやすい点が、それぞれメリットしてあげられます。
自社の商品やサービスの特性に合わせて、いずれか最適なマーケティング施策を選定するようにしましょう。
O2Oが注目されている背景
O2Oが注目されている背景につき、3つの観点から解説します。
スマートフォンの爆発的な普及
昨今のスマートフォンには、加速度センサー、GPSなどの位置情報をはじめ、AR(拡張現実)やNFC(近距離無線通信)技術など、さまざまな先端技術が搭載されています。
スマートフォンの爆発的な普及によって生まれた、ネット(オンライン)からリアル(オフライン)への新たな送客、プロモーション手法は、O2Oビジネスが急拡大する契機となりました。
SNSによる情報共有・拡散の一般化
SNSによる情報共有・拡散が一般化されたことも、O2Oが注目を集めている背景の一つです。
現在、多くのユーザーがSNS上での情報発信を行っており、企業の事業運営にも大きな影響力を持っているといわれています。
リツイートやハッシュタグなどのSNS機能を活用し、店舗への送客増加も期待できることから、SNSでの情報発信に力を入れる企業も増えています。
店舗機能の再評価
オンライン集客が一般化する中、店舗機能を再評価する声も高まっています。
背景として、商品試着や店員とのコミュニケーションなど、オンラインでは提供できない体験価値が店舗にはあるためです。
現在多くの企業でオンラインとオフライン、それぞれの強みを活かした上で、相乗効果を期待できるマーケティング手法の構築が求められていることも、O2Oが注目を集める背景であるといえるでしょう。
O2Oマーケティングのメリット
O2Oマーケティングにより、企業はさまざまなメリットを期待できます。主なメリットにつき、以下にご紹介しましょう。
新規顧客の獲得
O2Oマーケティングでは、まだ商品内容やサービスの魅力について知らない潜在顧客に対し、オンラインを活用して的確な情報・サービスを、適切なタイミングで提供できます。
新規顧客の獲得につながりやすい点は、O2Oマーケティングのメリットの一つです。
顧客ニーズを満たすアプローチが可能
オンライン施策の強みとして、Webサイトの検索履歴や商品の購入履歴など、顧客の蓄積データを有効活用できる点があげられます。
蓄積したデータから興味・関心領域を分析の上、見合った商品・キャンペーン情報をレコメンドとしてプッシュ通知するなど、顧客ニーズを満たすアプローチを展開できる点も、O2Oマーケティングのメリットだといえでしょう。
施策の即効性の高さ
オフライン施策の一つである集客チラシの場合、制作後の配布自体に時間を要してしまうため、オンライン施策と比較し、即効性を期待できません。
一方、実店舗で使用できる期間限定のクーポンをSNSやメールマガジンを通して発行した場合、リアルタイムでユーザーに提供できるため、その後の来店や購買行動につながりやすく、対象期間の売上拡大にも寄与する可能性があります。
効果検証が容易
O2Oマーケティングでは、施策実施後のユーザーのSNS上での反応やクーポン利用件数の収集を通して、定量的指標として効果検証することが可能です。
明確な数値データで効果検証を図れるため、改善点が明確になるなど、今後の販売戦略にも活かせる点は企業にとって大きなメリットでしょう。
O2Oマーケティングにおける施策
O2Oマーケティングには、具体的にどのような施策があるのでしょうか。7つの施策をご紹介します。
ECサイトやHPの運営
ECサイトやHPには、営業時間の制約がありません。
O2Oマーケティングを実施し、オンライン施策のメリットを最大限得るためにも、ECサイトやHPの運営は不可欠です。
また、運営の際には顧客の利便性向上の観点から、オフライン(店舗)とオンライン(ECサイトなど)で顧客情報を一元管理できる体制づくりも欠かせません。
SNSでの情報発信
Instagram、Twitter、Facebookなど、SNSでの積極的な情報発信も、大切なO2Oマーケティング施策になります。
スマートフォンの普及により、現在若者を中心に幅広い世代でSNSの利用が一般化しています。
SNSは拡散性が高く、多くのユーザーの興味・関心を瞬時に集めやすいことから、一躍人気店になるケースも珍しくありません。
SNSアカウントの開設を通して、顧客とのコミュニケーションがより直接的かつスムーズになり、企業は顧客からの問い合わせにも迅速に応えられるようになります。
クーポンの配布
SNSやメールマガジンを活用した、店舗で利用できるクーポン券の配布も、O2Oマーケティングの代表的な施策の一つにあげられます。
お得な情報が盛り込められたクーポンの配布は、ユーザーの来店意欲を喚起しやすく、新規顧客の獲得も期待できます。
スマートフォンアプリとの連携
会員カードとして活用できるスマートフォンアプリとの連携も、多くのメリットを期待できるO2Oマーケティング施策です。
アプリの活用により、ECサイト同様、企業は店舗内における顧客の購入履歴などのデータ管理が容易になります。
アプリの特徴としてポイントカード紛失のリスクが低く、ポイントなどもアプリ内で管理でき、顧客にとっても利便性が高いことから、顧客満足度の向上にも効果を発揮します。
位置情報の活用
スマートフォンの一部アプリには、位置情報の利用機能があり、オフライン送客や顧客満足度の向上ツールとして活用することも可能です。
一例として、アプリユーザーの許可を得た後、位置情報をベースに店舗付近にいるユーザーを割り出し、来店を促すプッシュ通知を送付するなどの活用手法があります。
QRコードの活用
近年、飲食店や小売店をはじめ、QRコードを活用したサービスを展開する企業が増えています。
店舗内で顧客にORコードの読み込みから会員登録をしてもらった後、クーポンやメールマガジンを配信するなどが主な活用手法です。
リピート顧客の獲得が期待できることから、多くの企業がQRコードの活用を積極的に取り入れています。
店頭受け取り型サービス
利便性の高いインターネット販売において、購入時のネックになりやすい要素の一つが送料です。
送料負担により、店舗での購入価格よりも高額になる場合、ユーザーが購入を見送る恐れがあります。
その問題解決施策として、商品受け取りを店舗先に指定することで、送料負担なしで商品をオンライン購入できる、「店頭受け取り型サービス」の導入が増えているのです。
O2Oマーケティングの取り組み事例
次に、O2Oマーケティングに関する企業の取り組み事例を3つご紹介します。
大手アパレルメーカーの事例
インターネット通販と店舗を上手に連動させたO2Oマーケティング施策で注目を集めているのが、大手アパレルメーカーのA社です。
A社の具体的な施策として、オンラインストア内の商品ページにおける、実店舗の在庫数表示があります。
数時間毎にリアルタイムに近い在庫数をカラーやサイズ別に表示することで、ユーザーの来店意欲を喚起するのが狙いです。
またA社は、店頭とオンラインストアの会員情報の紐づけを通して、双方のポイントを利用できる体制を構築するなど、O2Oサービスの強化に注力しています。
大手雑貨・アパレルメーカーの事例
大手雑貨・アパレルメーカーのB社は、業界に先駆け自社独自のモバイルアプリをリリースし、インターネットを通じた実店舗への来店促進に長期的に取り組んでいることで有名です。
B社のモバイルアプリの特徴は、実店舗への集客増加へとつながる、先端機能が豊富に盛り込まれている点にあります。
機能の一例として、ユーザーが来店時にモバイルアプリの一部機能をタップすることでマイルが付与され、マイルが一定数貯まった場合、商品ポイントと引き換え可能です。
都道府県ごとに異なる、デザイン性に凝ったスタンプ機能も開発するなど、B社はモバイルアプリを通して、来店自体が楽しくなる仕組みづくりにも注力しています。
大手小売りメーカーの事例
大手小売りメーカーのC社は近年、データ分析による業務効率化や顧客とのコミュニケーションの場の創出に向け、O2O施策を加速させています。
施策の一例として、会計時にアプリ内のバーコードを表示・購入することでユーザーはデジタルシールを獲得でき、一定の枚数を超えるとアプリ上で景品を選択の上、店頭で交換できるといった取り組みがあります。
まとめ
インターネット社会の現代においても、オフライン(店舗)でしか提供できない価値があることは、ご紹介の通りです。
そのため、オンラインとオフラインを連携させて購買活動を促進させるO2Oマーケティングの重要性は、今後も高まっていくことが予想されます。
顧客満足度の向上や売上拡大に向け、O2Oマーケティングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。