品質向上とは?具体的な手順を解説

品質

2023年04月03日(月)掲載

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品質向上は、業務や製品・サービスにいたるまで、さまざまな観点が必要です。しかし、「品質向上の方法がわからない」など、どのように取り組めばいいか悩む方は多いのではないでしょうか。

品質向上のポイントは、業務の見える化と優先順位の設定、マニュアルの定着化です。まずはこれらのポイントの整理から始めましょう。

本コラムでは、前述のポイントを実践するために必要な問題の洗い出しや、具体的な進め方、無理なく継続させる方法を紹介します。

これから品質向上に取り組もうと検討している方は、ぜひ参考にしてください。

品質向上とは

品質向上

企業における品質とは、大きくわけるとふたつの意味をもっています。ひとつは日々の業務の品質という内向きの要素と、商材の品質という外向きの要素です。このふたつが合わさり、企業全体の品質を指します。

では、業務の品質と商材の品質には、どのような違いがあるでしょうか。

業務の品質

業務における品質は、企業活動を円滑に進めるために必要なものです。日々の業務をいかに効率よく処理し、利益につながりやすい状態を目指すかがポイントになります。

業務内容の品質向上は、以下を基準にして判断します。

  • 業務のやり方(手順や判断基準など)が統一されているか
  • ミスや抜け漏れが発生していないか
  • 業務の遅延が発生していないか

業務の品質向上を図り、タスク管理やプロセス整備が進むと、ヒューマンエラーによる手戻りやスケジュールの遅延が減少するなど、企業活動の円滑化につながります。

商材の品質

商材における品質とは、自社が提供する製品・サービスの価値を指します。具体的には製品・サービスの機能や価格などの表面的な価値ではなく、顧客満足度に結びつく複合的な要素で構成されています。

そのため、品質向上にいたるまでには、適切なプロセスをたどっていかなければ成り立ちません。

製品・サービスの品質を評価する要素として、具体例をあげると以下のような観点があります。

  • 製品・サービスを安定供給できている
  • 顧客との信頼関係が構築できている
  • 顧客ニーズへの迅速な対応ができている
  • 顧客対応でマイナスなアクションが発生していない

製品・サービスの品質向上の基準は、企業によって違いがあります。自社のプロダクトの特性を踏まえて、独自の観点で検討しなければなりません。

品質向上が実現した状態とは

品質向上は、業務の品質と商材の品質に分けられます。それぞれの品質が向上する状態とは、一体どのようなことを指すのでしょうか。具体的に紹介します。

業務の品質向上が実現した状態

業務の品質向上には、タスク管理やプロセス整備が重要です。業務のミスや抜け漏れ、スケジュールの遅れなどがなく、問題なく業務が進行できている状態が理想形といえます。

このタスク管理やプロセス整備が適切に行われていないと、ヒューマンエラーやコミュニケーションエラーが生まれ、業務品質の悪化につながるでしょう。

だからこそ、業務の品質向上には、タスク管理やプロセス整備などの運用改善が欠かせません。

商材の品質向上が実現した状態

商材の品質向上には、顧客満足度が重要です。商材の品質が保てている状態とは、製品・サービスの価値を十分に提供できており、顧客満足度が高い状態だと言えます。

具体的な例としては、不良品の発生率を下げること、サービス改善による体験価値のアップデートなどがあげられます。

また、業務の品質と商材の品質は密接に関係しており、業務の品質向上が商材の品質向上にも連動します。

つまり、品質向上を通じて企業が売上を伸ばしていくためには、2つの品質を持続的に向上させることが重要です。

品質向上の課題とは

業務や商材の品質向上に取り組む際は、企業の現状を把握し、どの問題から改善すべきか考える必要があるでしょう。

また、品質向上に役立つ考えとして、「QCD」を意識するのも効果的です。

  • 品質の向上(Quality)
  • コストの削減(Cost)
  • 納期の時間短縮(Delivery)

上記の要素を改善することは、品質向上の取り組みとなります。

品質向上とコスト削減の両立

企業にとって、コスト効率の健全化は考慮すべき重要な指標です。しかし、過度なコスト削減は業務・商材の品質低下につながる可能性もあります。

品質とコストの適切なバランスを保つためにも、顧客満足度や業務の品質向上を目的に、IT技術による業務の高度化・分業化をはじめとしたDX推進など、中長期的な観点からコスト削減を目指す方法が望ましいでしょう。

生産性の向上

生産性を向上させるには、業務プロセスの改善が重要です。

具体的にはシステム化や設備投資の強化を実施し、改善を図ります。業務が停滞しがちな箇所をピンポイントで改善するだけでなく、業務プロセス全体を抜本的に見直すことで、生産性向上につなげます。

システム導入には、導入費や運用費がかかりますが、長期的な目線で見るとノンコア業務(定型業務)の自動化が期待できます。

ノンコア業務(定型業務)をシステムに代替できると、従業員は利益に結びつきやすいコア業務(非定型業務)に専念できるため、品質向上を実現するための本質的なアクションが取りやすくなるでしょう。

労働環境の改善

労働環境の改善の一環として、業務内容の「見える化」が注目されています。「見える化」により、特定の従業員に業務が偏っていないかが見つかりやすくなります。

従業員ごとの業務量が見えないと、仕事の割り振りに無理が生じ、非効率な職場となる可能性もあるでしょう。

偏りのない労働環境を準備することで、従業員や会社全体の管理がしやすくなり、納期の遅れや品質の低下を防ぐことができるでしょう。

品質向上の適切な取り組み方

品質向上の適切な取り組みとして、以下の3つの要素があります。

  • 見える化
  • 優先順位
  • マニュアル化

企業の現状に照らし合わせると、そぐわないものもあるかもしれません。あくまで、一例として品質向上のヒントにしていただければと思います。

業務の見える化

業務の実態を把握するために必要なのが、見える化による業務の洗い出しです。具体的には、「どこで」「誰が」「どのような工程で」などを全て可視化します。

業務の見える化でわかるのが、部署や従業員単位での業務量や業務の偏りなどの課題です。また、見える化によって、部門を越えた業務連携の必要性を再確認できるため、生産性の向上にも役立ちます。

業務の洗い出しが完了したら、業務を種類、頻度、難易度という項目で整理しましょう。必要な業務とそうでない業務の取捨選択ができます。

業務の取捨選択は、次に紹介する優先順位の設定にもつながるため、徹底しておこなう必要があります。

優先順位の設定

業務の見える化で浮き彫りになった情報に、それぞれ優先順位をつけましょう。優先順位をつける目的は、すぐに改善が必要な業務を順番に把握できるからです。

こうして集まった情報をもとに、なくす、減らす、変えるという選択肢から業務改善を進めます。仮に選択した改善案がうまくいかなくても、複数の選択肢があれば、別のアプローチから業務改善が可能になるでしょう。

改善するべき業務の優先順位と、3つの選択肢から考える改善策で、品質向上への道筋は明確にわかりやすくなります。

マニュアルによる定着化

品質向上を継続させるポイントは、マニュアルを使い改善効果を企業全体に定着化させることです。マニュアルの利点は、担当者ごとのムラを軽減、ノウハウの継承、業務にかかる時間が削減できることです。

マニュアル作成までには手間と時間を要しますが、マニュアルが定着化すれば、人員配置の変更後も活用できることや不正が見つけやすくなるなど、さまざまな効果をもたらします。

品質向上を成功させるポイント

提供している商材によって、品質向上の課題や取り組み方は異なります。ここでは、品質向上を成功させるポイントの一例を紹介します。

目標とゴールの明確化

取り組みをはじめる前に、何のために品質向上に取り組むのか、そして品質向上を実現した後の理想を明確化しておきましょう。業務全体の品質向上を目指すのか、部署や個人のレベルを上げるのか、あるいは標準化を目指すのかなど、さまざまな観点が考えられます。

それらを品質向上に携わるメンバーと共有すれば、品質向上への取り組みはよりスムーズに進みます。

継続的に品質状況確認と業務改善をおこなう

品質の安定的維持も大切ですが、品質をより向上させるためにも定期的に見直しの機会を設けましょう。半年~最低でも年に1度のペースで、業務品質の見直しを繰り返すことが重要です。

まとめ

本コラムでは、企業が品質向上を目指す方法について解説してきました。

品質向上には、業務の品質向上と商材の品質向上の両方が必要です。これらは密接に関係しており、片方だけの改善では不十分といえます。

また、業務の品質向上には、順序があります。業務の見える化と優先順位の設定を行い、問題に取り組むことが重要です。品質向上は継続的な取り組みであるため、品質状況の確認や効果測定を繰り返し、定期的な改善を行いましょう。

本コラムを参考に、業務の品質と商材の品質の向上に取り組んでみてください。

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