ニューノーマルな働き方とは?企業の働き方事例を紹介
2022年04月14日(木)掲載
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新型コロナウイルスは社会構造を変え、ビジネスシーンにも大きな変化が生まれました。
特に外出自粛による出社制限の要請は、テレワークの普及を加速させ、DX推進や組織変革に着手する企業も増えています。
生活様式が切り替わる中で、ニューノーマルという言葉が注目を浴び、あらゆるものに対して在り方の見直しが求められている状況です。
本コラムでは、ニューノーマルの時代に注目される働き方の変化と、それに対して先進的な取り組みを行う企業の事例を中心にご紹介します。
ニューノーマルな働き方とは
ニューノーマル(New Normal)という言葉は、これまでにさまざまな意味合いで使用されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、「新しい生活様式」を指す単語として浸透しました。
この背景には、感染予防を目的とした非対面への切り替えやソーシャルディスタンスの確保、緊急事態宣言の発令などによる社会構造の大きな変化が挙げられます。
特に企業活動においては、政府より企業に対して出勤者数の7割削減を呼び掛けたことで、テレワークが急速に普及し、従業員の働き方にも変化が生まれました。
総務省が2021年に公表した調査結果では、コロナショックをきっかけにテレワークの導入企業が2倍以上(20.2%→47.5%)も増加しており、ニューノーマルな働き方に大きな影響を与えています。
※出典:令和2年 通信利用動向調査(総務省)
テレワークが普及したことにより、従来の対面コミュニケーションが減少し、代わりにMicrosoft Teams、Zoom、Google Meetなどのオンラインを介したコミュニケーションが増加しました。
他にもデジタル技術の導入によってペーパーレス化やセキュリティ対策が進み、在宅で完結できる業務が増えたことで、オフィス出社を前提としない就業形態へとシフトする企業も出てきています。
コロナショックによるテレワークの急速な普及が、ニューノーマルな働き方を後押ししたともいえるでしょう。
企業の働き方事例
ニューノーマルな働き方においては、ネットワーク環境整備やセキュリティ対策などの技術的な課題から、コミュニケーションの見直しやモチベーション管理などの人的課題まで、幅広い課題が点在しています。
そのような課題に対して、ニューノーマルな働き方を推進している企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。
今回はニューノーマルな働き方の企業事例を6社ご紹介します。
A社(SIer)の事例
A社の事例での注目ポイントは、2020年にニューノーマルな働き方に対して打ち出した独自コンセプトです。
単にテレワーク制度を取り入れるだけではなく、チームや個人にとって働きやすい環境や時間を、社員が自分自身の意思で選択することを重視しています。
さまざまな企業がテレワークの導入を目的とする中で、コミュニケーションやコラボレーションのしやすさを前提とし、働き方の変化を通じて企業文化も変えていくためのアクションを起こしたことが、A社の取り組みのポイントです。
取り組みの中で、A社はテレワークの推進やサテライトオフィスの活用を経て働き方のバリエーションを拡張し、社員がシチュエーションに応じて使い分けるハイブリッド・ワーク(Hybrid Work)を実現しました。
テレワークを暫定的な処置として捉えず、新しいスタンダードとして持続的な活用法を模索し、コミュニケーションの活性化や作業状況の共有が実現したことで、さまざまなメリットが生まれています。
それは単身赴任の解消や通勤時間の減少という就業面だけでなく、時間コントロールによる子育てのしやすさ、副業による知見の拡大など、従業員のエンゲージメントの向上にも役立っています。
B社(CtoCプラットフォーマー)の事例
B社の事例での注目ポイントは、ニューノーマルな働き方の実現に向けて、OKRとバリュー評価という新しい人事制度を取り入れた点です。
OKR(Objectives and Key Results)とは、GoogleやIntelなど、シリコンバレーに本社を構える名だたるテック企業が導入する目標管理手法です。
OKRは企業の階層ごとに目標(Objective)を定め、それがどのくらい実現できたかを成果指標(Key Results)で図りますが、従来の目標管理との違いはムーンショット型の目標設定にあります。
大胆さや革新さを重視することで、目標を達成すべきものよりも方向性をまとめるビジョンとして位置づけ、ボトムアップ型の主体的な活動を活性化するのが、OKRのメリットです。
B社では四半期ごとにグループ全体のOKRを更新し、現実的すぎない目標を設定しつつ、成果よりもプロセス重視の評価を行うことによって、チャレンジングな組織カルチャーを生み出しています。
また、バリュー評価ではピアボーナス制度などを通じて社員同士の相互理解を深め、評価制度にも落とし込むことで、従業員のエンゲージメント向上につなげています。
C社(SNSプラットフォーマー)の事例
C社の事例での注目ポイントは、オフィス出社とテレワークを混合した働き方の実現を目指した点にあります。
テレワークに対する試験運用を早期からスタートし、部署ごとで最適な出社の回数やタイミングに違いがある、コミュニケーションの減少によって相互理解や連携が足りていないなどの情報から、柔軟性のある働き方の実現に向けて制度を整えました。
C社は部署単位で出社回数が決められるように制度を変えるだけでなく、完全在宅ワークの解禁、コアタイムの調整、交通手段の範囲拡大、オンライン懇親会の開催など、従業員の価値観やライフスタイルを大切にしながら、生産性の向上に取り組んでいます。
D社(HR Tech)の事例
D社の事例での注目ポイントは、オフィスの縮小化です。
D社は代表電話や郵便対応、契約書管理などの出社業務をクラウドに移行し、バックオフィスを含めた大半の業務のテレワーク化を実現しました。
職種を限定しないテレワーク導入が実現したことで、遊休資産化したオフィスを退去し、規模を縮小したオフィスに移転することで、固定費の削減につなげています。
E社(クリエイティブ・プラットフォーマー)の事例
E社の事例での注目ポイントは、テレワークを前提とした制度改革によるオフィスの再定義です。
テレワークが中心となったことで、E社はオフィスを企業の象徴とコミュニケーションの補完に利用する場所へと再定義しました。
それに伴い、オフィスサイズを3分の1まで縮小して固定費を削減し、オンライン会議用ブースの設置やフリーアドレスの導入を通じて、打ち合わせの快適さだけでなく、気軽な雑談もしやすい環境を整備しています。
また、オンライン領域では新入社員向けの専用チャットルームの開設、オンラインランチ会や社長発案のオンラインお茶会など、コミュニケーション施策を次々に打ち出し、テレワークの課題となるコミュニケーション不足の解消に取り組んでいます。
F社(SIer)の事例
F社の事例での注目ポイントは、全社一斉のテレワーク導入です。
災害時を想定したBCP(事業継続計画)策定が行われていたこともあり、7割以上が在宅勤務に移行できています。
AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなどのクラウド環境を利用していたシステム開発部門だけでなく、バックオフィス部門などもリモートアクセスツールを介した在宅勤務への移行がスムーズに行われました。
テレワーク移行時のトラブルとして挙がりやすい通信トラフィックの増大によるネットワーク回線のパンクが発生した際には、業務内容に応じてセキュリティレベルを再設定し、VPNに接続すべき業務を見直すことで、通信環境の安定化を実現しました。
また、セキュリティ対策の一環として、Web会議ツールやクラウドサービスでの脆弱性が見つかった際、ポータルサイトやチャットでの速やかな共有を行うなど、最新のセキュリティ情報を社員に提供することを心掛けています。
ニューノーマルな働き方に取り組むためには
生活様式の変化をもとにしたニューノーマルな働き方に対して、一時的な処置ではなく、新たな常識と捉える企業は増えてきています。
これはコロナショックによってVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代がより現実味を帯びてきたことに加えて、テクノロジーの進化やグローバル化による持続的な企業競争力の確保が重視され始めたことも関係しているでしょう。
ニューノーマルな働き方には、企業が変革を受容することが欠かせません。
しかし一方で、従来のやり方を大きく変革することは難しく、簡単にアップデートできるものではないでしょう。
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