サービス導入事例

室町ケミカル株式会社

売上:
100億円未満
業種:
医療・医薬品

人事

人事制度の大幅改定。プロフェッショナル人材の知見と徹底伴走により、従業員モチベーションにも貢献する新制度を構築

管理本部
  • 本部長  井内 聡 氏
  • 総務部 部長  高田 雄一 氏
  • 総務部 総務課 課長  江口 健児 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    早急な人事制度改定が求められるなか、被評価者が前向きに取り組める目標設定・評価制度や、現状に適した賃金制度など、目標とする制度を構築するためのノウハウが不足していた。

  • AFTER導入による成果

    豊富な現場経験と知見をもつプロフェッショナル人材のアドバイスのもと、6か月という短期間で、新制度の策定と運用体制を構築。

6か月の短期間で、人事制度を大幅改定

創業は大正6年。100年以上の歴史を誇る室町ケミカル株式会社は、“健康”と“環境”の二つをテーマに、三つの事業を展開している。メーカー機能と商社機能を併せ持つ医薬品事業は、創業当時から続く同社の根幹をなすものだ。液体処理装置の構築を行う化学品事業は分析に強みをもち、顧客ニーズに沿った提案を得意とする。スティックゼリーのパイオニアとして実績をもつ健康食品事業は、少子高齢化社会に寄り添った商品開発で、順調に売上を伸ばす。歴史と実績を着実に積み重ねてきた同社は、2021年2月にJASDAQ上場を果たした。勢いにのる一方、数年前から人事制度に関する課題に直面していたという。

当時の人事制度は約10年前に策定されたものだ。同社で人事関連を統括する管理本部 本部長の井内氏は当時の課題をこう振り返る。「運用開始から時間が経つにつれ、さまざまな歪みが見えてきました。たとえば当時の評価制度はキャリアパス制度として導入したもので、従業員が目標を立て、その成果を昇給・昇格に反映するというスタンダードな仕組みです。しかし目標と業務内容が同一線上に置かれておらず、業務で成果を上げても評価に結びつかないという現象が頻発していました」。目標設定や評価は従業員のモチベーションに関わる重要箇所。一部からは不満の声が届きはじめていたという。ほかにも、企業成長に伴い組織が変化するなかで賃金テーブルが不適当になりつつあること、役職と等級の不均等など、人事制度に関する課題は山積していた。

制度の大幅改定に踏み切りたい同社が HiPro Bizからサービス提案を受けたのは2021年の秋。「人事制度の改定は一般的に長い時間を要するものです。しかし当社では期変わりまでの約半年間のうちに新制度を策定したいという時間的制約がありました。ハードルの高い要求だったと思いますが、HiPro Bizでは複数のプロフェッショナル人材をご提案いただけたため、それを叶えるプロフェッショナル人材と素早く出会うことができました」。

そうして本プロジェクトに参画したのが、外資系企業などで20年以上にわたり人事部門に従事し、人事戦略策定をはじめ幅広い知見をもつF氏だ。「コンサルタントとして独立されてからはまだ日が浅いとのことでしたが、一方でそれは現場経験が長いことを意味します。一方的に教えるのではなく、我々と同じ目線で考えながら伴走していただけるのではという期待感がありました。また従業員のモチベーションアップについても実績をお持ちで、当社の課題に深く共感いただけたことも決め手の一つでしたね」と井内氏は話す。

確かな知見と斬新なアイデアによって、生まれ変わる制度

F氏との取り組みは、プロジェクト全体のスケジュール策定から始まった。関係者全員が対応事項とスケジュールを把握したうえで、F氏は従業員複数名への課題ヒアリングを実施。それをもとに新制度の骨子づくりに着手した。

制度の構築に際し、総務部 部長の高田氏は次のように語る。「F先生から骨子をいただいてからは、先生と対話を繰り返し、詳細を詰めていきました。骨子をもとに社内で話し合い、『もっとこうしていきたい』という意見が出ればそれを先生にお伝えし、修正を繰り返す。最初に感じていた通り、目線を合わせながら相談を受けていただけていると思いましたね。決めることはたくさんありましたが、ミーティングはもちろん、メールでも頻繁にやりとりさせていただき、かなりスピーディに対応いただけたのではないでしょうか」。F氏の迅速な対応と同社との密な連携により、新制度は順調に組み上がっていく。

プロジェクト開始前、特に気にかかっていた評価制度も、F氏によるアドバイスとアイデアによって、従業員のモチベーションアップにつながりやすい仕組みに生まれ変わっていったという。「新制度では実際の業務内容を目標にするようルール化しました。業務を正しく頑張れば自然と評価に反映されますので、従業員の日々のモチベーションになっていくと期待しています。また、新制度では管理者に『部下に何を期待しているかを目標に反映してほしい』と伝えるようにしました。上司が裁量をもち自由に設定できるようにしたため、一人ひとりに合った目標にしやすくなったのもポイントですね」と高田氏は手ごたえを語る。

賃金制度は、旧制度を活かしつつも新しい要素がふんだんに盛り込まれた。なかでもF氏が同社用にカスタマイズした給与レンジの考え方は、その斬新さに社内でも驚きの声が上がったという。均衡を欠いていた等級制度は、役職と等級を一致させることで明瞭化を実現。等級レベルのなかにマネジメント能力や育成能力といった条件を設け、それを満たせば昇格が叶う、シンプルな仕組みに整理した。

また、併せてF氏の支援によって得られたものを伺うと「知識の習得」という声が挙がった。F氏と対話を繰り返すうちに、当初の課題であった評価制度・賃金制度・等級制度以外にも意識が向くようになり、教育制度などについても積極的に相談していったという。日々の業務では、他社の事例を含め、新しい情報を仕入れる機会は少ない。現場をよく知るF氏から生きた情報を得られたことは、大きな収穫だったようだ。

状況にマッチしたプロフェッショナル人材との出会いによって得られた成果

こうして2022年3月、抱えていたすべての課題を解決し人事制度改定の手筈が整った。取材をした2022年5月中旬には、管理職への説明会も終了し、運用開始は目前に迫っている。

総務課 課長の江口氏はプロジェクトを振り返り「きめ細やかなサポートが印象的だった」と語る。「F先生の支援は、制度の骨子作りやアドバイスだけに留まりませんでした。ある程度フェーズが進むと、我々が手を動かすことが増えるのですが、進めやすいようにと率先して資料や情報を見つけてくださったんです。たとえば役員・社長への説明はプロジェクトの山場ですが、そのときもF先生から『私なりにまとめました』と参考になる情報をいただきました。もちろん我々も準備はしていましたが不安はありましたので、現場が戸惑う瞬間を見逃さず、絶妙にフォローいただけたのはありがたかったですね」。

きめ細やかなサポートは日頃のコミュニケーションでも発揮された。いつも明るく朗らかなF氏の姿は、プロジェクト参加者の心をほぐし、相談や発言がしやすい雰囲気を醸成していったという。本プロジェクトはほとんどオンラインで行われたが、やりにくさを感じなかったのは、伴走型のスタイルでプロフェッショナル人材と密にコミュニケーションをとれたからだろう。

井内氏は、F氏の同社との関わり方について「コンサルタントというよりも、アドバイザーと表現するほうが近い」と説明する。「ときに同僚のような近い距離で、我々と同じ目線でプロジェクトに取り組んでくださいました。約半年という短期決戦のプロジェクトでしたが、上手くいったのはF先生に伴走いただけたからだと感じています。そういう意味では、課題や状況に合わせてプロフェッショナル人材を紹介するHiPro Bizを通して、F先生に出会えたのが大きかったですね」。新制度の策定完了と共にF氏とのプロジェクトも終了したが、「この先もまだご一緒したかった」と名残惜しさを感じるプロジェクトメンバーもいるほどだ。

「人事制度の改定はゴールではなく、はじまりです。従業員研修など、定着のためのステップを着実にこなさなければなりませんし、運用するなかでまた課題も見えてくるでしょう」と井内氏。続けて、その先にも考えを巡らす。「当然ながら我々は、企業として成長し続けなければなりません。各事業で開発テーマを抱え、それを具現化するため開発強化・設備投入などを行っていますが、やはり重要となるのは人材です。室町ケミカルが成長し続けるためにも、当社で働く人々が活躍しやすい土壌をつくっていくことが人事領域の使命だと考えています」。

今後、女性管理職の登用に向けた教育研修プログラムをはじめ、教育制度体系の構築を視野にいれていくという。今回F氏を介して広がった知見を活かしながら、より良い人事制度の探求は続く。

企業名
室町ケミカル株式会社
設立
1947年7月(創立:1917年1月)
従業員
267名(2021年5月末時点)
売上
49億4200万円(2021年5月期)
事業内容
医薬品の企画・製造・販売、健康食品の企画・製造・販売、イオン交換樹脂の販売・処理 など

担当プロ人材より

創業100年の技術と実績に甘んじることなく、常にチャレンジを続ける室町ケミカル様は、今後10年の成長と進化を支える土台とすべき人事制度を再構築したいとお考えでした。会社と社員のために良いものにしたいという強い志をお持ちでしたので、決め打ちすることなく、最新の事例も含めて積極的に新しい考え方をご紹介しました。また、プロジェクト完了後には皆様に自走いただくことを念頭に置き、将来必要になるであろうツールや、ご自身で実施できる研修コンテンツ等を提供させていただきました。常にオープンな姿勢で耳を傾け、安易に妥協することなく何がベストかを考えて取り組まれ、非常に充実した時間となりました。フットワーク軽くスピード感を持ってご対応いただき、信頼を寄せて下さって、心から感謝しております。

登録プロ人材 F 医療機器、化粧品、IT、運輸業界の外資系企業にて長く人事全般(組織開発、研修、報酬、評価、人事制度、採用、労務、M&A等)の実務とマネジメントに従事、人事責任者としても10年以上活躍。2021年に独立し、伴走型人事コンサルタント/アドバイザーとコーチングの両輪を事業として、複数の企業を支援している。

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