DXコンサルタントとは?活用するメリットや成功させるポイントを解説
2025年09月30日(火)掲載
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市場動向が刻一刻と変わりゆく今日では、DXによってビジネスモデルを変革し、競争力を高めることが企業にとって急務であるといっても過言ではありません。DXに関する豊富な経験を持つDXコンサルタントは、このような状況下で企業が躍進を遂げる上で、非常に重要な役割を果たします。
本記事では、DXコンサルタントの具体的な役割や、ともにDXに取り組む際のポイントなどを掘り下げていきます。

■DXコンサルタントとは
■DXコンサルタントが注目されている背景
■日本企業のDXが進まない理由
■DXコンサルタントを導入するメリット
■DXコンサルタントに支援を依頼するときの注意点
■DXコンサルタントとともにDXを成功させるポイント
■DXを推進する際の基本的なフロー
■自社のDXをスムーズに進める上で、DXコンサルタントは有用な人材である
DXコンサルタントとは
DXコンサルタントは、その名の通り、企業のDXをサポートすることに特化したコンサルタントです。「DXとは何か」の周知やデジタル技術の導入、そして現状の経営課題の分析などを行った上で、最適なDX戦略を立案します。
なお、デジタル技術に精通したコンサルタントとしては、ほかにITコンサルタントも挙げられますが、両者は「サポート範囲」に大きな違いがあります。ITコンサルタントがサポートする領域は、企業で利用するソフトウェアの選定やシステムの構築など、情報技術に関する部分のみです。
一方で、DXコンサルタントは技術的なサポートだけでなく、ビジネスモデルの改善や組織文化の改革など、経営戦略の領域までカバーします。
DXによる組織の抜本的な改革を目指すのであれば、DXコンサルタントの支援を活用することを考えてみると良いでしょう。
DXコンサルタントの役割
DXコンサルタントの主な役割は「企業のDX推進をサポートする」ことですが、実際の業務内容は多岐にわたります。その一例が以下の通りです。
DXコンサルタントの業務の一例
業務 | 概要 |
---|---|
DXツールの導入支援 | ●クラウドサービスやAIツール、RPAなどのDXツールの導入を支援する ●操作マニュアルの作成やノウハウ蓄積のための研修を行い、ツールの定着を図る |
現状の分析 | 現状の業務プロセスや組織体制、ビジネスモデルなどを見直し、経営課題を洗い出す |
戦略の策定 | ●洗い出した課題と企業の掲げるビジネス目標のギャップを明確化し、最適な戦略を策定する ●KPIやKGIなどの定量的な目標も合わせて設定する |
実行計画の立案 | 戦略を実行するための具体的な計画を立案する |
計画の実行および管理 | ●社内のメンバーとともに計画を実行する ●進捗状況やほかメンバーの対応状況をモニタリングし、トラブルがあれば都度対応する ●必要に応じて計画の見直しを図る |
DX人材の育成 | DXに関する教育や研修を行いDX人材を育成する |
DXコンサルタントが注目されている背景
DXコンサルタントの需要は年々高まりつつありますが、そこには日本全体でのDX意識の向上と、その意識とは裏腹に存在するDX推進の「困難さ」が、深く関係しています。
顧客ニーズや市場動向が目まぐるしく移り変わる昨今、企業が競合他社に対する優位性を保ち、安定した成長を遂げるためにはDXへの対応が非常に重要です。しかし、DXを実現するには、ITの専門知識と企業経営のノウハウの両方を備えた人材が社内にいなくてはなりません。そのような人材を一から育成することは、決して容易ではないでしょう。
そこで必要となる人材が、DXコンサルタントです。
外部のDXコンサルタントを起用すれば、育成期間を設けることなくスピーディーにDXへの取り組みを始められます。その上、DXに関する知見を自社内に蓄積できるため、将来を見据えてのDX人材の育成もかなう可能性があります。
このように、DX推進のハードルが一気に下がる点こそが、DXコンサルタントが注目されている理由なのです。
日本企業のDXが進まない理由
日本企業のDXが進まない理由としては、先述した人材要件のハードルも含めて、以下の3点が挙げられます。それぞれの詳細を順に解説します。
- DXの進め方がわからない
- DX人材が不足している
DXの進め方がわからない
「そもそもDXをどのように進めて良いかわかっていない」という企業が多いことが、日本企業でDXが進まない理由の一つです。
競合他社や市場の動向を踏まえて、DXの必要性を漠然と理解している企業は少なくないでしょう。しかし、ITリテラシーが高くない企業や、従来の経営体制を維持している企業では、DX推進のために必要となるIT技術や人材の要件を把握しきれていないことがあります。
その結果、DX推進を掲げながらも、実態としては進捗が見られないという状況に陥ることがあります。
DX人材が不足している
DXの進め方がわかったとしても、実行に移せるスキルを持つ人材がいなければ効果を発揮できません。しかし、デジタル技術の知見と経営ノウハウの両方を備えているDX人材は貴重な存在であり、採用が難しい傾向にあります。
社内で一から育成することも可能ですが、一定の期間が必要なため、即戦力としての活躍は難しいでしょう。
このような「DX人材不足」に対応するためには、外部のDXコンサルタントを積極的に活用することがおすすめです。
「とは言え、どうやってDXコンサルタントを探せば良いのかわからない…」とお困りであれば、ぜひ「HiPro Biz」にご相談ください。さまざまな企業のDXを成功に導いてきたプロ人材が、DX戦略の立案から計画の実行まで一気通貫で支援いたします。
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DXコンサルタントを導入するメリット
- プロのノウハウを活用しながら、DXを推進できる
- DXに関するノウハウやスキルを収集できる
- 自社の問題点を把握できる
プロのノウハウを活用しながら、DXを推進できる
DXコンサルタントは、自社の課題に応じて最適な戦略を立案してくれるだけではなく、計画の実行役やほかメンバーの管理など、現場レベルの業務もサポートしてくれます。また、業界や業種の最新動向や、デジタル技術の最新事例なども把握しているため、自社社員だけでは考えつかなかったような、革新的なアイデアを出してくれる可能性もあります。このように、DXコンサルタントの持つ知見を活用することで、自社のDXをより効率的に進められるようになります。
DXに関するノウハウやスキルを収集できる
DXコンサルタントとともに業務に取り組むことで、自社内にも自然とDXに関する知見が蓄積され、社内でもDX人材の育成が進む可能性があります。将来的には、DXコンサルタントの力を借りず、自社だけで市場の変化へ機敏に対応できるようになるかもしれません。短期的なDXへの対応だけではなく、長期的な競争力の強化もかなう可能性がある点が、DXコンサルタントを起用する大きなメリットだといえます。
自社の問題点を把握できる
DXコンサルタントは「外部」の人材であるからこそ、社内の人間だけでは気付けない問題も明らかにできます。このような客観的な視点からの改善提案は、自社の状況を正確に把握する上で非常に重要です。特にDXでは、最初の課題分析がその後の戦略立案、さらにはプロジェクトの実行段階にも大きく影響します。こうした理由から、DXコンサルタントが外部の人間であることが、より重要な意味を持つのです。
関連記事:DX推進における企業課題とは?実現に向けたポイント・進め方を解説
DXコンサルタントに支援を依頼するときの注意点
- DXの規模やレベルに合うコンサルタントを選定する
- DXコンサルタントの業務範囲を理解する
DXの規模やニーズに合うコンサルタントを選定する
一口に「DX」といっても、企業によって抱えている課題の内容や重要度、また影響を及ぼす範囲などはまったく異なります。そのため、支援を依頼するDXコンサルタントとしては、自社の状況と近い案件に携わった経験のある人材が適任だといえます。例えば、大企業が多数の部署を巻き込んでDXを進める際に、中小企業でのサポート経験しかないコンサルタントと契約しても、成果につながる提案は期待できません。このような事態を防ぐためにも、DXコンサルタントの実績は事前に必ず確認しましょう。
DXコンサルタントの業務範囲を理解する
DXコンサルタントの多くは現場の業務にも携わりますが、中には、アドバイスや助言までしか対応しないケースもあります。「この業務には対応できない」といったすれ違いが契約後に発生すると、大きな機会損失となってしまうため、業務範囲の確認も行いましょう。また、DXコンサルタントが得意とする業種や業界も、合わせてチェックしておきましょう。自社の属する業種や業界に深い造詣を持つコンサルタントを選定すれば、市場の特徴や競合他社の動向を踏まえた、より的確な戦略を打ち出してくれるはずです。
DXコンサルタントとともにDXを成功させるポイント
- 社内情報を取りまとめて共有する
- 主体性を持って取り組む
- 社内の協力体制を整備する
- 経営者が中心となり、社内にビジョンや戦略の浸透を行う
- 効率化を目指すのではなく、ビジネスの付加価値向上を目的にする
社内情報を取りまとめて共有する
いかに優れたDXコンサルタントであっても、企業の内情を把握できなければ効果的な戦略は立てられません。そのため、まずは自社の業務内容や現状の課題など、DXに必要な情報を整理して共有しましょう。ここで詳細な情報を共有できれば、調査やヒアリングの時間が減り、スピーディーにDXへの取り組みを始められます。主体性を持って取り組む
DXコンサルタントはサポート役であり、DXを実行する主体はあくまでも「自社」である、という意識を持つことが重要です。自社がDX推進の舵取りを行わないと、現場の意見が反映されていない計画が提案される、本来期待していた成果が得られないといったことが起こる可能性があります。DXコンサルタントのサポートを受けながら、社員だからこそ出せる意見も適宜取り入れ、自社が中心となってDXを推進することが大切です。
社内の協力体制を整備する
DXコンサルタントとの効果的な連携を行い、DXを成功へ導くためには、社内の協力体制を整備する必要があります。その際に設定したい役割は以下の5つです。DX推進に必要となる5つの役割
ポジション | 役割 |
---|---|
ビジネスアーキテクト | ●DXの最終的なゴールを定め、プロジェクトの全体管理を行う ●経営層や各部署、またDXコンサルタントをはじめとする社外の関係者との橋渡し役も担う |
テクノロジーアーキテクト | デジタル技術の導入や新システムの運用など技術面を担当する |
エンジニア | 現場で実際に開発業務に携わる |
デザイナー | アプリケーションのUIやUX、また新システムのデザインなどの開発を担当する |
チェンジリーダー | ビジネスモデルや業務プロセスの変革を主導する |
経営者が中心となり、社内にビジョンや戦略の浸透を行う
経営者が「他社がやっているから自社でもなんとなく取り組む」「DXコンサルタントに全て任せる」といった考えを持っている場合、DXの成功は難しいでしょう。経済産業省が公開している「DXレポート2」でも、以下のように記載されています。DX は製品・サービスの導入のみで達成されるものではなく、企業の経営者が自ら考え取 組を進める必要がある。(出典:経済産業省『DXレポート2』)
つまり、企業のトップ層が積極的に、社内に向けてDXのビジョンや戦略を浸透させる必要があるのです。トップ層がDXの指針を示し、具体的な対応まで共有すれば、社員も自然とDXへ前向きに取り組んでくれるようになるはずです。
効率化を目指すのではなく、ビジネスの付加価値向上を目的にする
「DXレポート2」では、DXのあるべき姿として以下の内容が掲げられています。従前の IT 導入が効率化、コスト削減を主目的としていたのに対して、DX の本質的な価 値は新たな価値創出である。(出典:経済産業省『DXレポート2』)
DX推進の目標として、業務の効率化やコスト削減などの数値的な成果を重視する企業もありますが、それらは価値創出を目指す上での過程に過ぎません。ビジネスモデルを根底から見直し、まったく新しい価値を提供することが、DXで目指したい本来のゴールなのです。
この点を軸に据えれば、自社の長期的な競争力を養えるDXが実現するでしょう。
DXを推進する際の基本的なフロー
- DXによって達成する目的の設定
- 現状の分析と課題の明確化
- DXを推進する体制の整備
- DXの計画作成
- DXの実行
- PDCAサイクルの実施
DXによって達成する目的の設定
まずは、DXに取り組む目的を定めます。「何のためにDXを進めるのか」「DXによってどのような変化が起こるのか」を明確にし、その内容に合わせて戦略を決めていきます。目的が明確にできない場合は、この段階からDXコンサルタントの力を借りることも良いでしょう。ただし、繰り返しになりますが、DXコンサルタントはサポート役であるため、自社が中心となってDXを推進することが重要です。考えが行き詰まったときに助言をもらう程度にとどめて、経営者が検討の主体であるという関係を維持することが大切です。
現状の分析と課題の明確化
次に自社の現状を分析し、設定した目的と照らし合わせて課題を明確化していきます。業務内容とその実行プロセス、また各部署の体制や関係性、現場社員の所感など、さまざまな観点から自社の状況を整理し、理想像とのギャップがある箇所を洗い出します。DXを推進する体制の整備
目的と課題が明確になったら、DXを推進する体制の構築に取りかかりましょう。DXの推進体制を構築する方法としては、以下に挙げる3種類が存在します。DXの推進体制を構築する方法
パターン | 利点 |
---|---|
既存のIT部門を拡張する | デジタル技術に精通したメンバーが多いため、ツールの導入やシステム構築をスムーズに進められる |
既存の事業部門を拡張する | 現場の意見をDXの取り組みに反映しやすい |
専門組織を新たに設置する | 技術的な観点と現場の観点の両方が重視され、バランスよくDXを進められる |
また、経営陣およびDXコンサルタントと密にコミュニケーションを取れるかどうかも、体制構築の際には意識したいところです。
DXの計画作成
構築した体制が主体となって、DXの具体的な実行計画を作成します。ここでは、明確にした課題に優先順位を付けます。全ての課題を一度に解決しようとすることは、現実的ではないためです。課題が経営に与える影響の大きさと、解決のために必要となる人員の数や費用などを総合的に考慮した上で、現実的に対応できる課題の優先度を高めることが重要です。
DXの実行
計画が完成したら、いよいよDXの実行ステップです。経済産業省の「DXレポート2」によると、DXを成功させるためには、以下の3つのフェーズに分けてDXに取り組む必要があるとされています。状況によって、必ずしもこのフェーズの通りに進める必要はありませんが、参考として各フェーズの詳細を把握しておきましょう。
- デジタイゼーション
- デジタライゼーション
- デジタルトランスフォーメーション
デジタイゼーション
「デジタイゼーション」のフェーズでは、アナログの状態で保管されている情報を電子化していきます。具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。- 紙媒体にまとめていた顧客リストをデータベース化する
- 在庫管理帳簿をスマートフォンやタブレット端末から確認できるようにする
- 対面での会議からオンライン会議へと移行する
デジタライゼーション
次フェーズの「デジタライゼーション」では、以下に挙げた例のように、業務プロセス全体のデジタル化を目指します。- 請求書のデータ入力から支払処理までをOCRを用いて自動化する
- 工場の製造ラインにIoTセンサーを設置し、異常を自動検知できるようにする
- チャットやビデオ通話などが統合されたツールを活用し、リモートワークを導入する
デジタルトランスフォーメーション
ここまでに実施してきたデジタル化を、組織全体で横断的に展開するフェーズが「デジタルトランスフォーメーション」、つまりDXです。具体的な取り組みとしては、以下が挙げられます。- 工場全体をIoT化し、さらに得られたデータをエンジニアリングチェーンやサプライチェーンへ応用する
- Webサービスと連携した新システムを構築し、そこで蓄積したデータを応用して新規事業を立ち上げる
- スマートフォンのアプリからタクシーを呼べるサービスを開発する
PDCAサイクルの実施
DXの取り組みは中長期的に行うことが一般的であり、すぐに成果が得られるケースはほとんどありません。そのため、PDCAサイクルを回して、定期的に施策の評価と改善を行うことが非常に重要となります。事前に設定した目的、またKPIやKGIなどの定量的目標と現状を照らし合わせて、期待する成果が得られたかどうかを分析しましょう。また、長く取り組みを進めるうちに社会情勢が変わり、当初設定していた目的と現状が乖離し始める可能性もあります。この場合は、目的や目標を一度設定し直して、改めて最適な戦略を練り直すことを推奨します。
関連記事:デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには~課題と導入ステップの紹介
自社のDXをスムーズに進める上で、DXコンサルタントは有用な人材である
しかし、DXコンサルタントに頼るだけでは、期待する成果を得ることは難しいでしょう。自社内でも体制を構築し、DXコンサルタントと協力し取り組みを進めることが、DXを実現するベストプラクティスなのです。
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