人材育成マネジメントとは?必要なスキルやトレンド、育成のポイントを解説

人事

2025年09月19日(金)掲載

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社員一人ひとりの力を最大限に引き出し、組織力の向上を目指すにあたっては人材育成マネジメントの実践が重要です。そこで気になる部分が「担当する社員にはどのようなスキルが必要なのか」「人材育成マネジメントの推進で意識しなければならない点は何か」などではないでしょうか。

本記事では、人材育成マネジメントで必要となるスキルや意識するポイントを解説します。人材育成を効果的に進めていくために、参考にしてください。


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人材育成マネジメントとは

改めて定義を確認すると、「人材育成マネジメント」は、社員のスキルを強化し、組織全体の成長につなげていく戦略的な取り組みを指します。OJTや研修、配置転換などの人材育成に関する施策の立案から実行、軌道修正まで一貫して行います。

また、人材育成では、単に部下に対して教育や指導を実施するだけでなく、経営戦略やビジョン、人事制度など事業全体と連携した動きも欠かせません。業務範囲が広く、考慮しなければならない点も多岐にわたるため、人材育成マネジメントを担う社員には、複合的なマネジメントスキルが必要となります。

関連記事:人材育成とは?基本的な考え方や人材活用の目標設定方法

人材育成で必要となるマネジメントスキル

では、人材育成マネジメントに取り組むにあたっては、どのようなスキルが求められるのでしょうか。必要なスキルの詳細を、以下で確認していきます。

  • 現状把握能力
  • 目標設定、管理能力
  • 計画、実行スキル
  • 課題解決スキル
  • リーダーシップ
  • コーチングスキル
  • ティーチングスキル
  • コミュニケーションスキル
  • フィードバックスキル

現状把握能力

現状把握能力は、人材育成マネジメントの基盤となるスキルです。部下や組織が抱える課題を正しく分析して施策へと反映していくことが、円滑な人材育成につながります。 具体的には、以下のような視点を持つことが重要です。

現状把握のために求められる視点の例
  • 組織の課題を解決するために、人材育成をどのように進めていけば良いのか
  • 社員の現状の能力と目標水準との差はどの程度か

こうした視点から高い精度で現状を分析し、多角的に物事を捉えてマネジメントに活かすことで、効果的な施策を講じられます。

目標設定、管理能力

人材育成マネジメントでは、目標設定、管理能力も欠かせません。部下のステップアップに必要な道筋を明示し、そこにたどり着けるように支援する能力です。

人材育成を進めていく上では、部下の現状と目指す姿の差を把握し、その差を解消するための計画を立てるとともに、進捗を継続的に管理することが重要です。目標設定、管理能力があれば、部下の現状の課題を明示し、課題解決のために適切に軌道修正を行えます。

計画、実行スキル

上記で設定した目標を達成するために不可欠な能力が、計画、実行スキルです。

人材育成を進めるにあたっては、育成対象である部下の現状のスキルや課題を把握し、それに合わせて計画を立てる必要があります。また、実施段階では、施策の進捗を管理し、必要に応じてフォローを行いながら、確実な目標の達成を目指さなければなりません。

計画、実行スキルが高いほど、目標を達成しやすくなり、人材育成を円滑に進めることが期待できます。

課題解決スキル

人材育成マネジメントでは、課題解決スキルも要求されます。

これは、人材育成の対象となる部下が課題に直面した際に、円滑に解決するために必要なスキルです。課題の原因を正確に特定、言語化し、適切な改善策を導き出してサポートします。

部下に対して行った課題の原因分析や改善策のフィードバックの内容は、ほかの社員が同様の課題に直面したときの参考にもなるため、全体の人材育成に関わる能力といえます。

リーダーシップ

人材育成マネジメントに携わる社員は、リーダーシップを発揮する必要もあります。育成の対象となる部下に指導や助言をする立場のため、その言動に求心力がなければ成果に結び付かないでしょう。

リーダーシップを発揮するためには、目標達成や課題解決に真剣に取り組む姿勢を部下に示し、信頼関係を構築することが大切です。

コーチングスキル

コーチングスキルも、人材育成マネジメントで必要となるスキルです。

コーチングとは、直接的な答えを与えず、対話の中で相手の気づきを促し、自らの力で課題に対処させる手法を指します。人材育成を担う社員は、この手法を活用して、部下の課題解決に取り組む力を育んでいくことが不可欠です。

部下に課題解決スキルが身に付けば、施策後も自発的に課題解決に取り組み、自身の力で成長していくことが期待できるでしょう。人材育成マネジメントを推進することは、組織の長期的な成長を支えるといっても過言ではありません。

ティーチングスキル

コーチングスキルと並行して必要となる能力が、ティーチングスキルです。コーチングは部下に答えを考えさせる手法だったのに対して、ティーチングでは自身が持っているスキルや知識、心構えを詳細に言語化して伝えます。

ティーチングのメリットは、部下に必要な情報を迅速に共有できることです。業務の最中に、部下に急いで何かを教えなければならないような場面では、コーチングよりもティーチングのほうが効果的です。

人材育成マネジメントでは、教える内容や状況に応じてティーチングとコーチングを使い分けることが求められるため、双方高いスキルを保持している必要があります。

コミュニケーションスキル

人材育成では、指示やフィードバックを部下にわかりやすく伝えることが求められます。また、部下の話に耳を傾け、適宜適切なフォローを入れることも重要です。
その際に必要となる能力が、コミュニケーションスキルです。

高いコミュニケーションスキルを持っていれば、部下と良好な信頼関係を築き、着実な成長を促せるでしょう。
その上では、話す力と聞く力の両方が、高い水準で要求されます。

フィードバックスキル

フィードバックスキルとは、部下の行動や成果に、建設的な評価やアドバイスを与える能力です。適切なフィードバックは、部下の成長を効果的に促すだけでなく、相互理解を深めて、信頼関係を築くことにもつながります。

ただし、伝え方によっては部下を委縮させてしまい、関係に悪影響を与えることもあります。フィードバックを部下の成長へとつなげていくためには、細やかな配慮が不可欠です。

人材育成マネジメントを推進する必要がある理由

上記のように、多くのスキルが必要となる人材育成マネジメントですが、なぜ、こうした取り組みを推進する必要があるのでしょうか。ここでは、人材育成マネジメントの重要性について説明します。

  • 組織の目標達成や成果につながるため
  • 人材育成の強化につながるため
  • 離職防止につながり、社員の定着率が向上するため

組織の目標達成や成果につながるため

人材育成マネジメントを実施する理由として、組織全体の目標達成につながる点が挙げられます。効果的な人材育成を実施し、社員一人ひとりのスキルが強化されれば、組織全体の生産性が向上し、結果的に組織全体で掲げている目標の達成もなし得るのです。

業界を問わず人手不足が問題となる昨今、限りのあるリソースの中で最大限の成果を実現するためにも、人材育成マネジメントに対する期待は高まっています。

人材育成の強化につながるため

人材育成マネジメントを推進していくことは、将来の人材育成にも好影響を与えます。

部下は、上司や先輩社員から指導、アドバイスを受けた経験から、人材育成の場での効果的なアプローチの方法を学んでいきます。そうして自身が人材育成を実施する立場となった際に、培ったマネジメントスキルを活かして、新たな部下を成長へと導いていくのです。

こうしたサイクルが生まれれば、企業の競争力も高まり、持続的な成長を目指せるでしょう。

離職防止につながり、社員の定着率が向上するため

社員の定着率向上の観点から、人材育成マネジメントに力を入れるケースもあります。

人材育成として、社員一人ひとりの状況に合った教育を実施したり、配置転換でさまざまな業務を経験させたりすることは、社員の成長意欲ややりがいの向上につながります。そうして実際に成長すれば、業務範囲が広がり、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。

このように人材育成マネジメントの推進は、社員のエンゲージメントを向上させて、離職を防止する効果も期待できます。

マネジメントスキルを高めるときに重視する点

今後、人材育成マネジメントを担う社員のスキルを強化するにあたって、重視しなければならないポイントを紹介します。これらのポイントを踏まえ、研修や学習に取り組むことで人材育成マネジメントに必要なスキルを効率的に高められるでしょう。

  • 徹底的に成果にこだわる
  • 一方的な指示ではなく、考えるきっかけを与える
  • 細かくコミュニケーションを行う
  • 目標設定と管理を徹底する

徹底的に成果にこだわる

人材育成マネジメントを進めていく上では、成果を常に意識することが重要です。

人材育成マネジメントに失敗する理由として、取り組みの目的を「部下への指導」自体に置いてしまうことが挙げられます。これでは一方的な教育となってしまい、部下の効率的な成長は見込めないでしょう。

人材育成マネジメントの本来の目的は、「部下の成長」にあります。
「目的達成のためにはどのようなサポートが必要なのか」、また「部下の課題は何なのか」など、成果につながることを常に意識した人材育成が求められます。

一方的な指示ではなく、考えるきっかけを与える

部下に対して一方的な指導やアドバイスを行うことは、自発的に行動する機会を奪いかねません。状況によっては答えをすぐに教えるのではなく、部下自身に考えさせることが、スキル向上には効果的です。

先ほど説明したコーチングを活用して、部下の疑問や悩みを傾聴し、また質問していく中で、部下自身に答えを考えさせることを習慣化しましょう。

細かくコミュニケーションを行う

人材育成に携わる社員には、日ごろから部下と綿密にコミュニケーションを取ることも求められます。

部下が悩みを抱えていたり、また心身の健康状態が優れなかったりすれば、業務に身が入らず、人材育成も順調に進まないでしょう。そのため、人材育成を行う社員と部下の間で日ごろからコミュニケーションを取り、部下の様子の変化に気づける体制を整えておくことが重要なのです。

双方が忙しく、日常的に顔を合わせることができない場合には、面談の場を定期的に設けてコミュニケーションを取る機会を確保しておくことも有効です。

目標設定と管理を徹底する

人材育成マネジメントに取り組む上では、組織全体を通して目標設定や管理を徹底することも欠かせません。これにより、人材育成を行う社員と部下の双方で「何を目指せば良いのか」を明確にして、共通の認識で効率的に施策に取り組むことにつながります。

人材育成マネジメントで掲げる目標は、組織全体のものだけでなく、部署や職種、役職など社内の役割によって細分化したものを定めることが重要です。社員一人ひとりの目標がより具体化することによって、実行可能性が高まり、目標に達するための管理も行いやすくなります。

人材育成マネジメントのスキルを高める手法

最後に、人材育成マネジメントのスキルを向上するための手法を紹介します。自社の状況や方針に合うものを選び、社員のマネジメントスキルの向上に役立ててください。

  • OJT
  • メンター制度
  • SD(Self Development)
  • eラーニングや動画研修
  • プロ人材の活用

OJT

人材育成マネジメントのスキルを上げる手法の一つ目として、OJTで育成を担当することが挙げられます。

OJTとは、実際の業務を通じて行う教育訓練のことです。人材育成マネジメントを将来的に担う社員が、実践的に部下にスキルやノウハウを教える中で人材育成の方法を学んでいきます。その中でコミュニケーションスキルや、目標設定、管理能力を磨けるので、OJTはマネジメントスキルの向上に効果的です。

メンター制度

若手のときにメンターを務めることも、人材育成マネジメントのスキル向上のきっかけとなります。

OJTは部下への業務面の指導を中心に行う制度でしたが、メンター制度はメンタル面のサポートをメインに行う制度です。新入社員や若手社員などが抱える悩みに対して、年齢の近い先輩社員がメンターとしてアドバイスを与えます。
メンターには、部下の悩みを聞き、その原因を解明、解消していく中で現状把握能力や課題解決スキルが求められます。また、部下との間に信頼関係を構築していくことでリーダーシップも培われるため、マネジメントスキルを実践的に学べる制度といえるでしょう。

SD(Self Development)

SD(Self Development)とは、一般的には『自己啓発』と呼ばれる取り組みです。自己啓発を推進していくことも、人材育成マネジメントのスキルの強化につながります。

SDは、社員の自発的な読書やセミナーへの参加によって、マネジメントに必要なスキルを習得する手法を指します。OJTやメンター制度のように教える部下がいなくても、社員が自らのタイミングでスキル向上に取り組めることが特徴です。

SDの取り組みを推進する際は、書籍の購入費用やセミナーの参加費などを補助する制度を整えて、社員をバックアップすることが大切です。

eラーニングや動画研修

eラーニングや動画研修も、人材育成マネジメントのスキルを強化するために有効な手段です。

現状把握能力や課題解決スキル、リーダーシップなど、人材育成で必要になるマネジメントスキルは多岐にわたります。こうしたスキルを実務の中のみで習得することは難しいため、業務から離れた場で学習する機会を設ける、つまり「OFF-JT」の実施が必要なのです。

その中でも特にeラーニングや動画研修は、インターネット環境さえあれば、時間や場所に制約されずいつでも受講できるためお勧めです。集合研修のように参加者全員の日程調整に苦慮することなく、社員が個々で空き時間を活用して効率的に学習を進められます。

関連記事:人材育成研修とは?目的や重要性、効果を高める計画の立て方を解説

プロ人材を活用する

人材育成に必要なマネジメントスキルの向上にあたっては、社内のみで対処するのではなく外部のプロ人材を活用して取り組むことも一つの手です。
社員のスキルに課題を感じる場合には、経営支援サービスである「HiPro Biz」にぜひご相談ください。

「HiPro Biz」には、多くの企業の人材育成に携わってきたプロ人材が多数在籍しています。そのプロ人材が貴社の状況や事業の特徴、また人材育成マネジメントの目的などを徹底的に分析し、社員のマネジメントスキルの向上に最適な手法を提案いたします。
なお、人材育成マネジメント自体に関する相談にも対応可能です。


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人材育成マネジメントでは、現状把握能力や課題解決スキルなど多くのスキルが必要

人材育成マネジメントとは、社員のスキルを向上させ、企業全体の成長につなげていく戦略的な取り組みのことです。
効率的に推進するためには、現状把握能力や課題解決スキル、リーダーシップなど多岐にわたるスキルが求められます。
OJTによる人材育成の実践経験やeラーニングの研修などを通して、社員のマネジメントスキルの向上を図りましょう。

また、社員のスキルを円滑に強化するために、「HiPro Biz」を利用することもお勧めします。プロ人材が貴社にとって最適なスキル向上の手法を提案し、より効果の高い人材育成マネジメントへと導きます。

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