女性管理職比率35.4%の次の一手。パーソルキャリアに学ぶDEI経営の進め方
2026年04月30日(木)掲載
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パーソルキャリア株式会社 カルチャー&コミュニケーションデザイン部 DEI推進グループ
左から加藤 杏奈氏 /マネジャー 孫 美世氏 /アシスタントマネジャー 國分 真里奈氏2026年4月1日施行の女性活躍推進法の改正をはじめ、国は企業に女性活躍の一層の推進を求めています。こうしたなか、パーソルグループでは、「一人ひとりが『はたらく人生』において輝き続けられる社会」の実現を目指してDEIを推進。「DE&I AWARD2025」において2年連続で最高評価の「ベストワークプレイス」に認定、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2025」において11位に選出されるなど、こうした取り組みは社外からも評価されており、女性活躍推進の先進事例として注目されています。
なかでも注目されるのが、女性管理職比率35.4%(2025年3月時点/出典:女性の活躍推進企業データベース)という実績です。一方で、単に比率を上げるだけでなく、意思決定層への登用といった、次の課題にも向き合っています。
どのような施策を通じて女性活躍を推進しているのか。成功につながる施策にはどんな共通項があるのか。DEI推進グループの孫氏、國分氏、加藤氏に、その実践知を聞きました。
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女性管理職50%を見据えて―意思決定層の構造を変えたパーソルキャリアのDEI施策
■女性管理職比率は高いものの、意思決定を担う上位層では1名だけだった
■多様性への理解を深め、自律的にキャリアと向き合うための施策を展開
■管理職を目指すことだけが、女性のキャリアの正解ではない
■ただ女性管理職を増やすのではなく、「女性のなかでの多様性」も高めていく
■まとめ
女性管理職比率は高いものの、意思決定を担う上位層では1名だけだった
——パーソルキャリアの女性活躍推進状況について教えてください。
國分氏:2025年3月時点で、社員数6,421名、女性社員比率は52.8%、女性管理職比率は35.4%(2025年3月時点/出典:厚生労働省「両立支援のひろば」/女性の活躍推進企業データベース)となっていて、同規模の企業と比較すると女性社員比率も女性管理職比率も高い水準です。また、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2025」で企業ランキング11 位を獲得するなど、社外からも評価をいただいています。
社内で実施している上位職着任意向調査の結果をお伝えすると、男女問わず管理職以上では6割以上が上位職への着任意向を持っており、管理職の一歩手前の層では7割を超えています。また最近の調査では、マネジャー(課長)より上位の、ゼネラルマネジャー(部長)やエグゼクティブマネジャー(統括部長)など部長層の上位職着任意向は、女性が男性を上回りました。
一方で、全社員における女性比率と管理職層における女性比率ではまだ大きな差があります。また非管理職のメンバー層については男女で差があり、男性のほうが上位職への昇格意向が高いことがわかっています。多様なお客様に真に役に立つ価値やサービスをお届けし続けていくために、すべての社員が自分らしくいきいきと活躍できる土壌整備を目指しています。現状、社員数の多い女性を一丁目一番地の対象と決め、各種施策を遂行しています。
——女性活躍推進を本格化する前の段階では、どのような問題があったのでしょうか。
國分氏:経営の意思決定を担う上位層に、女性がほとんどいませんでした。2011年4月から2023年3月まで、事業部長・本部長以上の上級管理職を務める女性は1名のみでした。日々の重要な意思決定に多様な意見が反映されることで、当社が目指す「多様な“はたらく”の実現」をより体現できるのではないかと考えていました。

孫氏:他社でも似たような状況があるかもしれませんが、以前の当社では、長時間はたらくことができ、緊急対応にもすぐに応じられる人が多く役員になっていました。世の中で「女性活躍」が叫ばれるようになる以前から、パーソルキャリアは女性管理職比率が比較的高い状況ではありましたが、上級管理職や役員の構成は多様とは言いがたい状況でした。そのため、はたらく時間に制限のある社員でも、上級管理職として活躍できる体制の整備が求められていました。
——女性活躍推進の機運が高まっていったきっかけは?
孫氏:パーソルグループは、多様な人材が活躍できる環境を目指し、グループ一体となってDEIを推進しています。その第一歩として、ジェンダーを起点とした活躍推進を加速させるべく、2021年にグループを横断する「ジェンダーダイバーシティ委員会」が発足しました。
ジェンダーダイバーシティ委員会は、各事業領域の人事責任者およびCEO、CHRO、CEOが指名する委員長が参加する経営直轄の組織で、DEIに関する意思決定と実行のスピードを高めています。これまで女性管理職比率向上や男性育休の取得促進をはじめとする目標の設定や各施策の推進を決定してきたことが、女性活躍の機運を高めた大きなきっかけだと思います。
多様性への理解を深め、自律的にキャリアと向き合うための施策を展開
——これまでに実施してきた女性活躍推進施策には、どのようなものがあるのでしょうか。
國分氏:2020年からは役員や本部長以上の上位職の女性、つまり多様な意思決定層の輩出を目的とし、執行役員が候補者のスポンサー役として1on1などを行う「スポンサーシッププログラム」を設けています。スポンサーが絶対的な味方となったうえで、伴走しながら、本人のキャリアの見える化を全力で支援しています。
また、2024年からは育児や介護など、時間に制約があるはたらき方の多様性を理解してもらい、業務効率化やよりよいマネジメント運営を検討する「制限のあるはたらき方理解研修」も開催。これは全管理職を対象に受講必須とし、社長や役員、本部長クラスから受講を開始しました。
加藤氏:2025年からは、メンバー層を対象とした「自分らしいリーダーシップ発見ワークショップ」を開催し、20代後半~30代の女性が同年代の社員とともに、自分自身を見つめ直しキャリアを考え、次の一歩を踏み出す機会を提供しています。開始間もない取り組みですが、参加者アンケートではキャリア意識の前向きな変化が報告されています。
加藤氏:多様性への理解を深めるための活動としては、ヘルスリテラシー向上にも注力し、「健康とライフキャリアの両立リテラシー向上研修」を実施しています。
もともとは月経やPMSなど女性特有の健康課題をメインテーマとして開催していました。そんな中、「男性も含めてさまざまな属性の健康課題を学びたい」という声が社内から上がりました。現在は特定の属性に偏らない形で「ライフイベントとキャリアの両立」にフォーカスし、男女の健康課題・重大疾病・介護・更年期・不妊治療などのテーマも盛り込んでいます。2025年度は、全社員必須のeラーニング講座も提供しています。
当社は平均年齢が若いこともあり、健康課題を自分ごととして認識しづらい社員も多いと感じています。幅広いライフイベントに触れ、キャリアとどう両立していくのか、理解を深めてもらうことを目的としています。
ほかにも、グループ全体でLGBTQ+や複業、発達障害など幅広いテーマについて有志社員が登壇し、事例を共有する「みんなでDEIを考える会」などを開催しています。
管理職を目指すことだけが、女性のキャリアの正解ではない
——これまでの取り組みのなかで、成功した施策にはどのような共通点があると感じますか?
孫氏:上位層の巻き込みが重要だと感じています。当事者とDEI推進部門の1対1で取り組むだけでなく、さらに上位の管理職にも理解を広げることが欠かせません。
メンバー向けの施策などでも上司の理解が重要です。当事者(メンバー)が実務にどのような変化を生み出し、成長につなげていけるのか。適切なフィードバックをするためには、上司に取り組みの意義を理解して伴走してもらう必要があるのです。
そうした意味では、全管理職対象の「制限のあるはたらき方理解研修」を経営層から実施したことがポイントだったように思います。社長をはじめとした経営層が学びに参加していることで、管理職全体の意識が高まりますから。
——うまくいった施策の一方で、失敗を通じて学んだことはありますか?
國分氏:「この施策は丸ごと失敗だった」というものはないものの、施策ごとに常に反省点はあります。だからこそ、初回から同じ内容を継続している施策もなく、常に改善を繰り返しています。細かな改善点を次の回に反映させるよう徹底しています。
孫氏:注意すべきポイントという観点では、私たちは「管理職を目指すことだけが女性のキャリアの正解ではない」ということを常に意識していますね。もちろん各施策を進める際には、目指したい世界の実現に向け、「女性管理職を増やしたい」という思いを持ち、必要なKPIを設けていますが、DEI推進の本来の目的に立ち返れば、管理職もエキスパートもメンバーもそれぞれの道があっていい。それらを含めてダイバーシティを実現することが重要だと考えています。
しかし「推進施策」と銘打っていると、現場では「会社は何とかして女性管理職を増やしたいと考えているのだ」と受け取ってしまう人もいるかもしれない。だからこそ、各施策において「みんながみんな管理職を目指すことが全てではない」というメッセージや、数値だけではない目指したい世界観をきちんと伝えることが重要だと思っています。
ただ女性管理職を増やすのではなく、「女性のなかでの多様性」も高めていく
——パーソルグループとしての、さらなる女性活躍推進に向けた今後の展望を教えてください。
孫氏:当社では女性社員比率はすでに50%を超えています。フェアネスの考えから、男女ともに同じ機会を与えられて同じ選択ができる環境であれば、自然と女性管理職比率も50%になると考えています。
ただ、女性管理職が増えたとしても、これまでの上級管理職たちと同じはたらき方ができる、今までと同質な女性管理職ばかりになってしまっては意味がありません。女性のなかでの多様性も高め、これまでの常識に対して「本当にそれでいいのか」と問題提起しながら意思決定していくことが大切だと思うのです。
女性管理職が増えていくということは、管理職を担う人材の背景がますます多様になっていくということ。課長層をマネジメントする部長層も多様になり、やがて経営層にも多様性が広がっていくでしょう。もはやジェンダーに関係なく、多様な視点に基づいて意思決定し、多様な「はたらく」をこれまで以上に応援する企業となれるよう、今後も尽力していきます。
【プロフィール】
パーソルキャリア株式会社 カルチャー&コミュニケーションデザイン部 DEI推進グループ
左から加藤 杏奈氏/マネジャー 孫 美世氏/アシスタントマネジャー 國分 真里奈氏
※記事内に記載の役職・組織情報は 2026年4月時点のものです。
まとめ
パーソルキャリアでは、経営層の巻き込みや管理職の理解促進、キャリア支援施策などを通じて、多様なはたらき方のもとで一人ひとりが自分らしいキャリアを選択できる環境づくりを進めています。重要なのは「管理職を目指すことだけが正解ではない」という視点を持ち、すべての社員の多様性も含めて組織の意思決定に反映していくこと。DEI推進は、企業の意思決定の質を高める取り組みでもあると言えるのではないでしょうか。
パーソルキャリアの取り組みから見えてくるのは、女性管理職比率をただ引き上げるのではなく、意思決定プロセスそのものを多様にすることこそがDEI推進の核心であるということです。経営層の巻き込み、管理職の意識変容、キャリア支援、健康・ライフイベント理解の浸透──これらはすべて「個人が自律的にキャリアを選択できる組織」を生み、結果として企業の意思決定の質を高めていきます。
こうした変革には、自社リソースだけでなく、外部の専門性を活用することも有効です。「HiPro Biz」では、DEI推進、組織開発、制度設計、人的資本経営などの領域に強いプロフェッショナルが多数登録しています。意思決定の質を一段引き上げたい企業こそ、ぜひ 「HiPro Biz」でのプロ人材活用をご検討ください。





