離職率が高くなる会社の特徴とは?基本的な原因と対策を解説(後編)
2024年12月17日(火)掲載
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多くの業種や職種で人手不足が経営課題となるなか、人材をいかに定着させるかは重要なポイントだといえるでしょう。新たに人材を採用する取り組みを行うことは大事ですが、一方で従業員が長くはたらきき続けられる職場環境を整備していくことも必要です。
離職率が高い会社にはいくつかの特徴が見られるため、自社の現状がどうであるかを定期的にチェックしてみましょう。この記事では、離職率が高まる原因や対策について詳しく解説します。
後編となる今回は、離職率が高いことのリスクや離職率低下のための対策など、具体的イメージをもって実践していただけるよう解説します。離職率の基本的な捉え方などをまとめた前編とあわせご覧ください。
離職率が高いことで生じるデメリット
離職率が高いままの状態が続いてしまえば、以下のようなデメリットが生じやすくなります。
離職率が高いことで生じる3つのデメリット
- 人材が思うように集まらない
- 採用にかかる費用が増加してしまう
- 業務に支障が出る
各デメリットについて解説します。
人材が思うように集まらない
離職率が高い状態が続いてしまうと、新たな人材を集めにくくなるでしょう。自社のイメージが悪化することで、人材募集の点においてマイナスの影響が出てしまいがちです。
SNSなどを通じて、誰でもインターネットに情報を投稿できる時代であるため、いったん企業イメージが悪化すれば、状況を改善するまでに時間がかかります。労働環境に問題があるといった情報が拡散すれば、新たに募集をかけても思うように人材が集まらないでしょう。
また、せっかく採用しても早期離職につながってしまい、人材がなかなか定着しないという状況に悩まされてしまいます。
採用にかかる費用が増加してしまう
離職率が高く、多くの人が辞めていく会社の場合、常に採用活動を行わなければならないでしょう。採用活動を続けるには、それなりに費用もかかるので負担が大きくなる可能性があります。
また、新たに人材を採用してもいきなり業務を任せられるわけではないため、人材教育にかける費用も考慮しなければなりません。逆にいえば、人材が定着しやすい企業であれば、そうした費用が発生しづらくなるため、労働環境の改善のために費用をかけられるといえます。
業務に支障が出る
業務に必要な人材がいなくなれば、状況によっては日常の業務にも支障が出る恐れがあります。特別なスキルを持っていたり、ベテランの従業員が辞めてしまったりすれば、提供するサービスの質の低下につながる場合があるでしょう。
顧客からの信頼低下が起こってしまえば、業績が悪化する原因にもなるので気を付けましょう。新たな人員を配置したとしても、以前と同じ水準で業務を遂行するまでには時間がかかるため、影響が長引くことが想定されます。
離職率を低下させるための対策
離職率を低下させるには、自社が抱えている課題を把握したうえで、具体的な施策を実施していくことが求められます。主な対策として、次のものが挙げられます。
離職率の低下に結び付けるための7つの対策
- 人事評価制度の見直し
- 労働環境の改善を行う
- 従業員とのコミュニケーションを増やす
- サポート体制を構築する
- 多様なはたらき方を推進する
- キャリア支援を行う
- 採用のミスマッチを減らしていく
対策の内容やポイントを解説します。
人事評価制度の見直し
離職率を低下させるには、どのような立場ではたらいている従業員にとっても、公平・公正な人事評価制度を構築することが大切です。自らのはたらきぶりに対して適切な評価が行われているのであれば、従業員の納得感も高まるでしょう。
従業員に対する人事評価は直属の上司だけでなく、チームメンバーや他部署の従業員の意見なども取り入れながら、オープンなものにしていく必要があります。また、勤務形態や職種に応じて評価基準を定め、わかりやすい仕組みに整えていくことも肝心です。
自社にとって適した人事評価制度のあり方は、組織の状況や競合他社の動向などによって変わってきます。そのため、定期的に見直しを行うことが大切であり、従業員との面談やアンケート結果などを踏まえて改善していきましょう。
労働環境の改善を行う
従業員が離職を考える一つの原因として、労働環境に対する不満が挙げられます。特に業務の過剰な負担が生じている場合、なかなか休みを取ることができず、ストレスを抱え込んでしまうケースがあるでしょう。
従業員の意見を交えながら業務フローの見直しなどを図り、特定の従業員に過度な負担が生じていないかを定期的にチェックしていくことが重要です。必要な人員の補充だけでなく、ITツールの導入なども検討して、どのような形であれば業務を効率化できるのか考えていく必要があります。
離職率の低下に向けた取り組みを行うことは、結果として業務の効率化や生産性の向上に結び付くため、以前よりも強固な組織を築くことにつながるはずです。誰にとってもはたらきやすい労働環境であれば、自ずと離職率も低下するでしょう。
従業員とのコミュニケーションを増やす
従業員が離職を考える理由はさまざまなので、組織全体として労働環境の改善を図ると同時に、個々の従業員としっかり向き合っていくことも大事です。上司と部下が直接やりとりを行う1on1ミーティングを定期的に実施するなどして、日ごろから従業員とのコミュニケーションを円滑にしてみましょう。
業務に関する悩みや人事評価に対する意見交換だけでなく、将来的なキャリアの構築も含めて話をすることで、「この会社で長くはたらいていきたい」という思いが養われるはずです。また、上司との交流だけでなく、チームメンバーや他部署の従業員とも関わる機会を設けることで、風通しのよい組織の構築につながり、安心してはたらける環境を提供できるでしょう。
サポート体制を構築する
メンター制度とは、ベテラン従業員が業務経験の浅い新入社員をサポートする仕組みをいいます。日々の業務に関する悩みの相談だけでなく、スキルアップやキャリア開発につなげる支援を個別に行う制度です。
新しく入社した従業員は、仕事の悩みを抱えやすい状態にあるため、そのまま放置してしまえば早期離職につながる恐れがあります。離職を未然に防ぐための取り組みとして、従業員をサポートする体制を構築しておくことは、組織全体の力を高めることにもつながるでしょう。
多様なはたらき方を推進する
はたらく意欲が高い従業員であっても、家庭の状況などからフルタイムでの勤務が難しい場合があります。フルタイムを前提としたはたらき方しか企業側が提示できなければ、意欲のある従業員の離職につながる可能性があるので気を付けておきましょう。
他社の動向なども踏まえながら、リモートワークや時短勤務など、従来のはたらき方にとらわれない多様なはたらき方を取り入れていくことが大事です。さまざまなライフステージに対応したはたらき方ができる環境であれば、従業員が長くはたらき続けてくれるはずです。
キャリア支援を行う
従業員の人材育成は、中長期的な計画を策定したうえで取り組んでいくことが大切です。また、自社が求める人材像と従業員の希望や考えを擦り合わせることも、キャリア支援においては欠かせない部分だといえます。
定期的な面談を実施するとともに、社内でキャリアを築いていけるように適切な人事管理に取り組んでいきましょう。継続して人材育成に取り組む企業ほど、従業員の満足度も高まりやすいので、離職率の低下に結び付いていくはずです。
日ごろの業務から離れて、将来のキャリアについても考えられるように、研修制度を充実させたり、資格の取得などのために休暇を与えたりすることで支援していく体制を整えてみましょう。
採用のミスマッチを減らしていく
離職率を低下させるためには、そもそも採用の段階でミスマッチが起こることを避けるのも重要です。入社してからイメージと違った感覚を抱かれてしまうと、早期離職につながる恐れがあるでしょう。
人材を募集する段階において、自社が求める人材像を明らかにし、応募者からの問い合わせなどにも丁寧に対応することが求められます。また、内定を出してからも入社前のフォローを適切に行うなどして、入社後のミスマッチが起こりづらい体制を整えていくことが大事です。
まとめ
離職率が高い会社の特徴として、労働時間の長さや待遇面での不満などが挙げられます。多くの業種で人手不足が問題となるなか、離職率が高い状況が続いていれば日常業務にも悪影響を及ぼす場面があるでしょう。
従業員が仕事に対して意欲を持ち、長くはたらいてくれる環境を整えるには、人事評価制度の見直しや労働環境の改善に取り組むことが欠かせません。従業員の意見や考え、ニーズを面談など通じて把握し、具体的な改善策を実行したうえで離職率の低下につなげていきましょう。
今回ご紹介した内容をふまえ、たとえば社内に存在する「当たり前」を見直し、“いま自社に足りていない要素や改善ポイント”に気づくためにも、「HiPro Biz」がお役に立てるかもしれません。
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(編集/d’s JOURNAL編集部・HiPro Biz編集部)