組織改革を成功させるには?基本のフレームワークとポイントを解説(前編)

人事

2024年10月28日(月)掲載

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組織改革は組織の構造や文化、スタイルを根本から変える取り組みであり、全社をあげて実行する大規模なプロジェクトです。 まずは組織改革の目的や必要なタイミングをしっかりと理解し、自社が行う理由を明確化することが大切です。 この記事では、組織改革の重要性や効果的なフレームワークについて詳しく解説します。そのうえで、直面しやすい課題やスムーズに推進するためのポイントもあわせて見ていきましょう。

組織改革とは

組織改革

企業における組織改革とは、企業の継続的な成長を目的とし、組織の体制や風土、文化を抜本的に変革することを指します。より具体的に表現するのであれば、組織を「自発的に考えて成長する集団」に生まれ変わらせるためのものといえます。

いずれにしても、組織のあり方を根本から変える大掛かりな取り組みのため、基本的には既存の組織に大きな課題が見つかったり、企業を取り巻く環境が変化したりしたときに検討されるものです。また、組織改革では、ハード面とソフト面のどちらにも目を向ける必要があります。 規則やシステム、評価制度、人員配置といったハード面だけでなく、組織文化や従業員のビジネスマインドといったソフト面も変革の対象となります。

組織改革で目指すべき理想の組織体とは

組織改革の目的と重要性を理解するうえでは、理想の組織について明確にしておく必要があります。以下の項目では、どのような組織体が理想形とされているのかについて、3つの観点で見ていきましょう。

共通の目的を持っている

組織として優れたパフォーマンスを発揮するためには、全体で共通の目的を持っていることが重要な前提です。そして、各メンバーが組織目的の達成に向けた課題を自覚し、主体的に行動できる状態が理想形とされています。

組織として共通の目的を持っていれば、メンバーも共通認識を持って業務に当たることができるため、チームワークや生産性は自然と向上します。また、全体の目的から自身の個別目標も逆算できるため、仕事への意欲も高められるのです。

主体的な貢献意欲を持っている

理想的な組織の2つめのポイントは、各メンバーが組織に対して主体的な貢献意欲を持っているという状態です。企業や部門が設定する目的は、いずれも1人の力では達成できないものです。

そのため、組織目的を明確化するとともに、お互いが協力して達成するという意識を醸成する必要があります。組織目的の達成という観点で、それぞれが自身の役割や目標を考察し、積極的に相互協力できる風土をつくることが大切です。

コミュニケーションが充実している

組織目的を達成するためには、組織内でのコミュニケーションが円滑に行われていることが前提となります。そのためには、雑談のような日常的な会話だけでなく、成功事例や問題点を速やかに共有できる状態を整える必要があります。 個人や現場での体験によって得られた情報やコツは、貴重で有益なものが多いにもかかわらず、感覚的な性質が強いため、言葉で広く共有するのが難しいのも確かです。しかし、業務の属人化を防ぐには、こうした個人の知識・情報も組織として蓄積していかなければなりません。

そのためには、企業が主体となってコミュニケーションの仕組みを整える必要があるのです。また、失敗例もスムーズに共有できるように、組織内にはフラットで風通しのよい関係性を築いていくことも大切です。

組織改革で得られる効果

組織改革の大きな目的は、前述のとおり企業の継続的な成長・維持にあります。以下の項目では、さらに深く踏み込んで、組織改革の具体的なメリットについて2つのポイントから見ていきましょう。

生産性の向上

組織改革に成功すれば、日常の業務が飛躍的に効率化します。メンバー間で目的やビジョンがきちんと共有されるため、情報の行き違いや工程の無駄が省略され、全体としてより合理的に成果をあげられるようになるのです。

さらに、部門間での非効率的なやりとりや手待ちも少なくなり、業務の垣根を越えた連携を図りやすくなるのもメリットです。また、組織改革には時代に合わなくなってしまった体制やシステムを廃止し、IT技術を活かした効率的な組織運営に変えるといった側面もあります。 不要な連絡や会議を減らし、目的の達成に直結した業務にリソースを集中させられるため、同じ人員・労働時間であっても成果の大幅な向上が期待できます。

従業員満足度の向上

組織改革は組織全体だけでなく、同時に個人の従業員にも多くのメリットをもたらします。共通の目的意識が生まれ、コミュニケーションも円滑化することで、従業員自身が仕事への意欲を高められるのです。 たとえば、企業が持つ社会的な意義を深く共有し、日常の業務にまでしっかりと落とし込むことができれば、従業員は自身の仕事に対して誇りを持ちやすくなります。また、公正かつ公平な人事評価制度を設けることができれば、従業員それぞれが自身の評価に納得し、前向きに経験やスキルを磨けるようになるでしょう。

そして、もう一つのメリットとして挙げられるのが、柔軟なワークライフバランスの実現です。組織改革によって無駄をなくし、生産性を向上させれば、企業にも多様なはたらき方に対応できる余裕が生まれます。

組織改革が必要なタイミング

組織改革は企業の運営方法を根本から変える取り組みであるため、実行するタイミングは慎重に見極めなければなりません。そして、改革を行うからには、従業員や関係者に対して客観的な理由を説明できるように準備しておく必要があります。

以下の項目では、組織改革がどのようなタイミングで求められるのかについて、代表的な3つのポイントから解説します。

外部環境が変化したとき

企業を取り巻く外部環境の変化は、組織改革の実施が必要となる代表的なタイミングです。既存の組織体制では時代の変化に対応できないと感じた場合には、早急に改革の実施を検討する必要があります。 企業組織に大きな影響を与える変化としては、次のようなものが挙げられます。

  • 社会情勢の変化
  • 国際関係の変化
  • 市場の変化
  • 金利や税制の変化
  • 関連法令の改正
  • SDGsの推進
  • DXの推進
  • 働き方改革の推進
  • 新型コロナウイルスの流行

社会情勢や国の動きは企業の方針や戦略に大きな影響を与えるケースも少なくありません。また、特に現代の企業はDXをはじめとする急激な変化にさらされており、従来と比較して改革の必要性が高まる場面が多い傾向にあります。

IT技術の進歩などにより、既存のシステムやノウハウが通用しなくなってきたとき、リスクを最小限にとどめるのが組織改革の役割でもあるのです。

社内人事が変化したとき

外部環境の変化に対応できている企業であっても、業績の悪化やコンプライアンスの問題などが起こったときには、社内の人事に目を向ける必要があります。また、逆ピラミッド型の年齢構成を持つ企業では、主要な年齢層の人材が退職してしまうタイミングを事前に想定して、大幅な雇用調整や組織再編などを行う場合もあるでしょう。

このように、組織体制の立て直しを図るときには、どうしても全体に与える影響が大きくなります。特に大規模な人員削減や人事の異動を行う際には、残された従業員にネガティブな影響が生まれるのを防ぐ必要があるのです。 そこで、同時に組織改革を行い、新たな体制で再出発が切れるように土台から整え直すのも一つの方法です。

新たな経営目標を立てたとき

新たな経営計画を立てたり、新規事業を立ち上げたりしたときには、必要に応じて従業員のマインドセットを改めることが大切です。また、実務においては専門知識やスキル、ノウハウなどを身に付けさせるために、数年単位の中長期的な計画を立てなければならないケースも少なくありません。このときには、組織内に不安要素が発生したり、メンバー間に意識のギャップが生まれたりするのを避けるために、根本から組織改革を行うほうが効果的な場合もあります。

今回の前編では組織改革の概要からその取組み効果、特に必要と考えられる実践タイミングまでをご紹介しました。後編では、組織改革の実践におけるよくある課題やスムーズに進めるためのポイントをまとめ、より具体的に解説していきますのでぜひご覧ください。

(編集/d’s JOURNAL編集部・HiPro Biz編集部)

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