日本・海外におけるオープンイノベーションの成功事例10選
2022年05月11日(水)掲載
オープンイノベーション(Open innovation)というワードをご存じでしょうか。国内でも、有数の大手企業が他企業との連携による開発や新規事業立ち上げを推進しており、名前を聞いたことのある方は多いかもしれません。
当コラムでは改めてオープンイノベーションの概要から、国内外を問わず、オープンイノベーションを実施している企業の事例をご紹介します。
オープンイノベーションとは
オープンイノベーション(Open innovation)とは、組織の枠を超えあらゆるリソース(知見や技術・サービスなど)を駆使し、組織内のイノベーションを促進することに加え、組織内で創出されたイノベーションを組織外へと展開するまでの一連のモデルを指します。
オープンイノベーションという概念そのものは、2003年に現UCバークレービジネススクール教授のヘンリー・チェスブロウ氏が提唱しました。
オープンイノベーションによって目指すゴールは「企業の枠にとらわれない、事業の促進や創出」です。技術発展や絶えず変化する市場ニーズに伴い、企業にとっては新たな挑戦が常に求められ続けています。消費者ニーズの多様化・複雑化が進む中で、大きな可能性を秘めていることが認知されはじめた昨今、改めてオープンイノベーションが注目を集めるようになりました。外部の知見・リソースを取り入れることで、より事業成長をスピーディに促進できる点や、思いもよらぬアイデアが生まれる点は、オープンイノベーションの大きな利点といえます。
オープンイノベーションの成功事例
通信サービス企業・A社の事例
A社は、オープンイノベーションを促進させる取組として、ビジネス創出のための各種プログラムを企画実行しています。
具体的には、コワーキングスペース活用による他企業との交流場づくりや、パートナー企業登壇による最新情報のセミナー開催などを行いました。2019年にスタートした当プログラムですが、すでに100社以上の企業が参加しています。
完成車メーカー・B社の事例
B社は、モビリティ社会の実現に向けた新サービスを共同開発する目的で、オープンイノベーションの取組を推進しました。大手から中小・ベンチャー、研究機関など、ともに新たなアイデアを生み出すための事業会社を幅広く募り、5社を選定しています。
総合電機メーカー・C社の事例
C社は、顧客とのワークショップを通じて、新たなビジネス共創の手法を生み出しました。同社独自のフレームワークやITツールなどを駆使し、顧客と同社で議論を重ねながらサービスアイデアやビジネスモデルを設計します。顧客にとってより革新的なビジネス創出に貢献する仕組みといえます。
電気通信サービス企業・D社の事例
D社で提供されているサービスは、「事業共創プラットフォーム」の提供と「コーポレートベンチャーキャピタル」です。
前者では、スタートアップ企業が構想するアイデアや技術と、プラットフォームに参画する大企業の多角的なアセット、双方の連携によって新たなビジネスを創出します。
後者は、スタートアップ企業に対して資金提供から、顧客基盤・領域ノウハウや通信システムなど同社グループのアセット提供を行っています。
エネルギー会社・E社の事例
E社は、事業共創を目的に、通年で各企業との連携を募っています。ハブとなるWebメディアを通じて、エントリーされたアイデアはすべてを対象とし審査を行っています。採用となった企業にとって、優先的な資金調達検討や、実証フィールドを享受できる点がメリットです。
光学機器メーカー・F社の事例
F社は自社の事業と親和性の高い側面において、事業パートナーを選定し、オープンイノベーションを推進しています。同社はすでに、オープンイノベーションによって複数の事業創出を成し遂げています。
例えば、大手通信サービス企業と推進した事例では、世界初の光無線通信技術実証を成功させました。当事例は、AI技術や画像処理技術など、双方それぞれの技術を駆使した結果成し遂げられたものとして公表されています。
製薬会社・G社の事例
G社はサイエンス領域において、大学や企業など、各研究機関とオープンイノベーションを推進するためのパートナーシップを締結しています。双方のテクノロジーを結集することで、新薬開発をはじめとし新たな研究・技術につなげることが目的です。
食品メーカー・H社の事例
H社はオープンイノベーションを推進するための機能として、グローバル研究開発施設や、同社の代表的技術・最先端のICT技術が付随した施設を運営しています。あわせて食品や機能性食品、飲料など、同社が従来より強みとしてきた開発・販売機能やバイオ技術等のアセットを提供し、新たな事業創出に向けてパートナー企業と新事業創出を行っています。
総合印刷会社・I社の事例
I社はプロジェクト単位において、共創のパートナー企業を募り、オープンイノベーションを推進しています。各種マーケティングツール・セキュリティサービス・BPO・イベントスペース等のアセット提供によって、パートナー企業の新規ビジネス創出における課題を解消するとともに、同社が手掛ける事業拡大にもつながっています。
玩具メーカー・J社の事例
オープンイノベーションは、決して企業間のみの取組に留まりません。例えば、I社では新たな玩具のアイデアを社外から募っていますが、その対象は、同社玩具の一般ファンにまで広げられています。当取組を行うまでは業績不調でしたが、オープンイノベーションによって業績は回復。オープンイノベーションによって構築されたビジネスモデルとして注目を集めています。
まとめ
ここまで、オープンイノベーションの事例をご紹介しました。事例でご紹介した通り、国内外を問わずオープンイノベーションは昨今の情勢変化に伴い、徐々に考え方や取組が浸透しはじめています。ここまで当コラムをお読みいただいている方であれば、仮にオープンイノベーションが未導入であっても、外部のリソースを活用することにおいて、アンテナを高く張っていらっしゃる方も多いかと思います。
もし仮に、今後を見据えて前向きにオープンイノベーション導入を検討している場合は、ファーストステップとして「オープンイノベーションに対する社内への意識づけや周知」に注力することを忘れずに行いましょう。オープンイノベーションは外部から今までにない考え方やアイデアを取り入れる分、従来のやり方から方向性の大転換が発生する可能性も大いにあります。その際、オープンイノベーションに対する理解が浅かったり、従業員自身の中で咀嚼ができていないと、心理的な抵抗が生まれてしまいオープンイノベーションの推進が滞る可能性もあるためです。
オープンイノベーションは、外部だけでなく、あくまでも従業員と相乗効果によって生み出されるものであることを念頭においておくとともに、一方的な押し付けとならないよう意識づけには力を入れておきましょう。
最後に、オープンイノベーション推進のパートナー選定や、上記のような組織への意識づけなどに課題をお持ちの方へ向けて、ご紹介するのは経営支援サービス「HiPro Biz」です。
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