新規開拓営業の流れと効果的な手法、成功のポイントを解説

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2023年02月06日(月)掲載

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これまで取引のない企業に営業をおこない、顧客にするのが新規開拓営業です。新規開拓営業は難度が高いものの、企業の売上向上に欠かせません。新規開拓営業を成功させるには、どのような施策が必要なのでしょうか。

この記事では、新規開拓営業の必要性と既存顧客の違い、新規開拓営業の流れと効果的な営業手法、成功のポイントと注意点を解説します。

新規開拓営業とは?

新規開拓営業

新規開拓営業とは、新しい顧客を獲得する営業活動のことです。これまで取引のない顧客にアプローチし、顧客になってもらえるよう営業活動をおこないます。

初対面の相手に商品やサービスを売り込むため、新規開拓営業は難易度が高い営業活動です。

新規開拓営業の必要性

難易度の高い新規開拓営業をあえておこなうのは、売上に必要な2つの理由があります。

・顧客が増えることで売上が向上する
・既存顧客の離反に対するリスク回避

顧客単価や受注件数の数値が高いほど、企業の売上は上がります。新規開拓営業で新たな顧客を掘り起こせば、利益を増やすことが可能です。

また、既存顧客が自社の顧客であり続けるとは限らず、競合他社に乗り換える可能性もあります。新規開拓をおこなえば、顧客が減った際の売上低下を防ぎつつ、事業拡大が可能です。

次に、新規開拓営業の必要性を踏まえたうえで、既存営業との違いを解説します。

既存営業(ルート営業)との違い

営業方法には、新規開拓営業と既存営業(ルート営業)の2つがあります。

既存営業とは、既存の顧客に対して新たな商品・サービスの提案やフォローをすることです。検討中の商品やサービスがある場合は購入を促し、すでに購入した商品がある場合はアップグレードを提案します。

取引企業にフォローをおこなうのは、競合他社の乗り換えや、商談の機会損失を防ぐためです。新規開拓営業と対象が異なるため、コミュニケーションをとりながら関係性を深める必要があります。

新規開拓営業の流れ

新規開拓営業は、以下の手順でおこないます。各段階に重要な意味や目的があるため、手順を把握しましょう。

既存顧客の分析

現在の既存顧客も、新規開拓営業をおこなって顧客になったはずです。既存顧客を対象に、なぜ顧客になったのか、どのような営業方法に効果があったのかを分析しましょう。既存顧客の分析ができれば、新規開拓営業の方向性が見えてくるはずです。

また、商品の魅力だと感じるポイントが、営業担当者と顧客では異なるケースがあります。既存顧客の分析は顧客目線でおこない、正確なアピールポイントを把握しましょう。アピールポイントを提案に取り入れることで、新規開拓営業が成功する可能性は高まります。

顧客リストの作成

次に、新規開拓営業を実施する対象企業をリスト化しましょう。リストで一覧にすると、新規開拓営業が効率化でき、成果も上がりやすくなります。

アプローチ

新規開拓営業の顧客をリストアップしたら、電話やメール、ダイレクトメール、飛び込みなどで新規営業を開始します。法人営業における新規開拓営業の手法は、アウトバウンド営業(プッシュ型)、インバウンド営業(プル型)に分けられます。

アウトバウンド営業とは、自社が新規顧客にアプローチする営業手法です。テレアポや飛び込み営業、ダイレクトメール、営業レターが該当します。新規開拓営業でアプローチする相手は、基本的に初対面です。初対面の相手に営業するアウトバウンド営業は営業担当者の負担が大きく、人件費などのコストがかかります。

一方、インバウンド営業とは、自社商品やサービスに関する情報発信をおこない、顧客から働きかけてもらう営業手法です。広告、SNS運用、サービスサイト、オウンドメディア、動画共有サイト、セミナーなどがあげられます。

インバウンド営業でコンテンツマーケティングなどを実施する場合、運用体制の構築と、高度なノウハウが必要です。また、アウトバウンド営業と比べ、成果が出るまでに時間がかかるでしょう。

アウトバウンド営業とインバウンド営業では営業効率など違いがあるため、自社と顧客に合った方法を選ぶことが大切です。

ヒアリング・提案

ファーストアプローチでは、商品を売り込むのではなく、見込み顧客の状況をヒアリングします。購入意欲が高まっていない状態でいきなり商品を勧められると、押し売りのイメージが付いてしまうリスクがあるためです。

ヒアリングでは、現在の課題や対策内容、最終的に目指す状態などの把握に努めましょう。自社の商品・サービスで解決できる顧客の課題やニーズを引き出すことが、ヒアリングの目的でもあります。

顧客の特徴や課題、現状などを具体的に把握したうえで、課題の改善策として自社商品を提案しましょう。自社商品で課題をどう解決できるのか、導入によってどのようなメリットがあるか説明します。

なお、新規開拓営業の場合、見込み顧客に自社商品の知識はほとんどありません。商品・サービスの機能や特長などをわかりやすく伝え、他社の商材との違いを説明しましょう。

フォロー

実際に会って話を聞いてもらえたら、見込み顧客との関係性を維持し、信頼関係を築く必要があります。定期的な連絡や訪問を通じて、見込み顧客をフォローすることが大切です。

見込み顧客に連絡する際は、課題はどうなったのか、自社商品やサービスの検討状況などを聞き出しましょう。同時に、見込み顧客に役立つ有益な情報を提供するのがポイントです。

接触機会を絶やさなければ、見込み顧客側が相談ごとを抱えている場合に「次に連絡が入ったときに聞いてみよう」と思うようになります。見込み顧客が商品を欲しいタイミングで商談に持ち込めるため、競合他社よりも早いタイミングでアプローチをすることができるでしょう。

新規開拓に効果的な営業手法

新規開拓営業にはさまざまな営業手法があります。新規開拓に用いる、代表的な営業手法と特徴を解説します。

テレアポ営業

テレアポ営業(電話営業)とは、見込み顧客に電話をかけて資料送付の了承を得る、あるいは訪問の約束を取り付ける際に用いる手法です。テレアポはテレフォンアポインターの略称で、アポイントを取り付け、商談に持ち込むためのきっかけ作りに役立ちます。

テレアポ営業のメリットは、見込み顧客のリストさえあればすぐに着手できることです。電話で自社の商品やサービスの魅力、メリットを伝えられるため、最初の電話が成約のきっかけになる可能性もあります。

飛び込み営業

飛び込み営業とは、営業先にアポイントを取らずに訪問し、商材の紹介をおこなう営業手法です。

飛び込み営業の応対者とは対面で話せるため、多くの情報を伝えられます。顔を見て話せることで顔を覚えてくれる、商品の実物や資料を手渡しできるなど、テレアポ営業にはないメリットがあります。

ただし、担当者がいないと空振りになる、営業先に移動する時間や人件費など、労働コストが発生する点に注意が必要です。

メール・手紙

メールや手紙による営業は、自社商品に関するダイレクトメール、商品紹介のイベント案内、アポイントの依頼などに適しています。人的なコストを抑えられ、先方の担当者が任意のタイミングで読めることがメリットです。

ダイレクトメールなどを送信する場合、作成した見込み顧客リスト以外に、名刺交換した相手に送信する方法もあります。定型文を一斉送信できるため、少ないリソースでも営業活動が可能です。ただし、メールの開封率や返信率は一般的に低いとされるため、メールを送る際は目を引くタイトルを付けるなどの工夫をしましょう。

一方、紙媒体の手紙やチラシ、カタログによる営業方法は、インターネットと親和性の低い商品や業界、インターネットが苦手な層に対して有効な手法です。また、メールや手紙を送付するだけでなく、テレアポ営業を併用すると効果的でしょう。

広告の活用

オンライン広告やオフライン広告などの広告運用は、インバウンド営業の代表的な手法です。

オンライン広告には、Webサイトの広告枠を利用するディスプレイ広告、検索キーワードに連動するリスティング広告、TwitterやInstagramなどで表示されるSNS広告があります。一方、オフライン広告とは、新聞や雑誌、チラシ、看板、電車やタクシーなどで活用する広告です。

広告運用のメリットは、広告の種類を使い分けることで、潜在層と顕在層の両方にアプローチできることでしょう。

Web広告を例にすると、リスティング広告はキーワード検索を経ているため、顕在層に訴えかけられます。ディスプレイ広告は不特定多数が目にするもので、ニーズを把握していない潜在層に訴求が可能です。

オフライン広告ではターゲティングがしにくいため、新規顧客開拓よりも認知の獲得に向いています。

Webサイトの活用

自社のWebサイト運営は、見込み顧客が自社や商品に興味をもつきっかけ作りが可能です。Webサイトは自社の商品やサービスの紹介に加え、資料ダウンロードや問い合わせの窓口の役割も果たします。

Webサイトの訪問者を顧客化するためには、有益な情報をコンテンツとして発信し、信頼を得ることが大切です。コンテンツマーケティングを活用するとSEO対策も同時にできるため、検索エンジンによる流入も見込めるでしょう。

なお、キーワード検索で流入するユーザーが多い場合、検索に連動するリスティング広告を活用するとWebサイトに誘導できます。

SNS運用

SNSの普及にともない、SNS運用も新規開拓営業に活用されています。企業の公式アカウントを作成し、商品の紹介や活用事例などを発信する手法が効果的です。SNSは拡散性が高いため、企業に勤める個人にも商品の魅力を伝えられます。

SNSの投稿では、情報発信するほかに見込み顧客に対してメッセージを送信し、アポイントを取ることも可能です。対面営業では会えない人物でも、SNSなら手軽にメッセージを送信できるでしょう。

なお、SNSを利用する企業の経営者や役職者は、多くいます。セミナーや交流会などで名刺交換をおこない、SNSを利用してアプローチをかける方法も有効です。

セミナーの開催

自社でセミナーを開催すると、テーマや自社商品に興味をもつ、ポテンシャルの高い見込み顧客を集客できます。セミナーテーマに関連付けて商品などの情報を伝えられるため、興味・関心を抱かれやすいでしょう。また、自社の商品やサービスに関する勉強会を開催すれば、潜在層を集められます。

ただし、セミナーや勉強会の開催には時間や費用がかかるため、費用対効果などを考慮して開催を検討しましょう。

新規開拓営業を成功させるポイント

新規開拓営業は難度が高いため、成功のためのポイントを押さえることが大切です。新規開拓営業の成功に必要なポイントを実践しましょう。

新規開拓リストを作る

新規開拓営業を成功させるには、新規開拓先のリスト作りが不可欠です。新規開拓リストは、営業担当者が計画的に営業活動をおこなう際に必要なツールでもあります。

リストアップする企業の情報は、インターネット検索、担当エリアの電話帳データ、展示会などのアンケートで収集可能です。

候補となる企業を洗い出したら、客観的な事実をもとに、顧客になるポテンシャルで振り分けます。客観的な事実とは、業種や業態、売上や従業員の規模、立地など、一般的な情報です。営業目標達成の助けになる、中長期的な受注が可能か判断しましょう。

また、新規開拓先が枯渇しないよう、多くの企業情報を確保する必要があります。

見込み顧客の課題を把握する

新規開拓先のリスト作成するにあたって、見込み顧客の課題を収集し、管理する必要があります。前述のとおり、ヒアリングで見込み顧客の課題を把握し、自社の商品・サービスで解決できることを考えましょう。

初回の新規開拓営業では売り込みを避け、ヒアリングの目的を伝えることが重要です。次の機会を得ることも新規開拓営業に必要のため、ヒアリングを経たうえで、契約に向けた準備をおこないましょう。

信頼関係を築く

新規開拓営業はヒアリングからはじまり、徐々に信頼関係を築くことが重要です。たった1回の訪問で契約できることは少なく、契約を迫るとかえって逆効果になることもあります。

そのため、見込み顧客のもとへ定期的に訪問し、課題の状況を聞くなど、フォローに努めることが大切です。「この企業なら課題を解決できる」「この人から商品を購入したい」と思ってもらえるように、信頼関係を構築しましょう。

PDCAサイクルを回し続ける

新規開拓営業を進める際には、目標の達成度を表す「KPI」を設定しましょう。受注件数などに対するKPIを設定し、進捗状況を確認しながら営業活動を進めます。

また、新規開拓営業は恒常的な活動が必要なため、KPIの設定と同時に、PDCAサイクルを回すことも大切です。企業情報や商談の状況、成果、改善点などを分析すれば、現状の課題や今後の方針が見えてきます。

PDCAサイクルを継続的に回すと、営業担当者だけでなく組織の成長にもつながるでしょう。

新規開拓営業の注意点

新規開拓営業は未開拓の企業におこなうため、信頼関係を築くうえで、以下の点に注意しましょう。

顧客視点の営業を意識する

新規開拓営業で営業先と信頼関係を築くには、相手の目線で物事を考える必要があります。初対面の相手から話を聞く行為は、営業先も情報開示の粒度感に対して慎重になるためです。相手の課題を把握すると、相手目線で会話を進められ、商品の提案も聞き入れてくれるでしょう。

また、営業をかけるタイミングも事前に忙しい時間帯を確認し、相手に都合の良い時間にする配慮が大切です。会話をする際も、聞き取りやすいよう音量やトーンに気を配る、丁寧な言葉遣いを心がけるなど、相手が不快に思わないように工夫しましょう。

顧客体験を提供する

顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)とは、商品やサービスを購入する際の体験です。商品やサービスの価値、機能性、得られる満足感などの感情も顧客体験に含まれます。

顧客体験が良いものであれば、購入の後押しや顧客満足度を高められるでしょう。新規開拓営業の際も形式的なやりとりではなく、良い顧客体験を提供できるように意識しましょう。

まとめ

新規開拓営業は売上向上や事業拡大に加え、既存顧客に関するリスクの回避に必要です。新規開拓営業をおこなう際は、既存顧客を分析したうえで開拓先リストを作成し、ヒアリングで見込み顧客の課題を聞き出しましょう。営業手法は複数の種類があるため、潜在層・顕在層それぞれに適した方法を選ぶことが大切です。

また、新規開拓営業を成功させるには、ポテンシャルのある顧客のリストを作成する必要があります。そのうえで、見込み顧客の課題を把握し、信頼関係を築くことが重要です。

顧客目線になることや良い顧客体験の提供を意識し、新規顧客の獲得につなげましょう。

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