販路開拓の企業事例と販路開拓で活用できる補助金・補正金を解説

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2023年06月30日(金)掲載

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販路開拓は売上向上だけでなく、新製品の開発、BtoBからBtoCへの展開など、新たなビジネスチャンスの創出に役立ちます。販路開拓に効果的な施策には、展示会出展というオフライン施策に加え、SEOなどのオンライン施策などが挙げられます。

当コラムでは、オフライン施策、オンライン施策などで販路開拓に成功した事例を紹介。さらに、中小企業の販路開拓に活用できる、国や自治体の補助金・助成金制度についても説明します。

オフライン施策による販路開拓事例

販路開拓の企業事例と販路開拓で活用できる補助金・補正金を解説

展示会出展などのオフライン施策により、販路開拓に成功した事例を見ていきましょう。オフライン施策は、食やものづくりの分野と相性が良いため、類似した業界の企業にとって参考になるでしょう。

製造・販売業/A社

工業メーカーであるA社。同社のコア技術は、宇宙開発技術で培った金属の立体面へのコーティング技術です。これまでBtoB向けの製品を扱ってきましたが、自社のコア技術を新たなシーンに展開しようとジュエリーグラスという新製品を生み出します。

贈答品の展示会で発表したところ、バイヤーの注目を集め、百貨店などから複数の注文が入り取り引きが決定。新たにBtoCの販路開拓につながりました。

また、取り組みはグラスの製造販売という枠を超え、有名ブランドとのコラボレーションや、地域のものづくりを世界に発信するパッケージブランドの構築など、さらなる展開を迎えます。

展示会参加をきっかけに、BtoCの流通業界への進出を実現し、新たなつながりも創出した好事例です。

飲食業/B社

飲食店を営むB社は、同社はコロナ禍で売り上げが急減するなか、地元の食材・ハモの消費拡大で町おこしを目指しました。ハモは美味しいことで知られますが、骨が多く敬遠されがちです。「骨取りハモ」なら素材を有効に使えると考え、「骨取り」技術の講習会を開催しました。

講習会には技術を習得したい地元の料理人たちが集まりました。講習後も参加した飲食店がSNSでつながったり、共同でメニューを開発したりするなど、以前にはなかった地元の連帯が生まれました。そして、ある店でハモを味わった地元客がB社の店舗はじめ他の店にも足を運ぶようになり、地元を「骨取り」ハモ料理が盛んな町として知名度を高めたのです。

町おこしの取り組みから、自店の販路開拓にもつながった好事例です。

オンライン施策による販路開拓事例

コロナ禍で対面販売だけでは厳しくなった昨今の情勢もあり、オンライン施策に積極的に乗り出す企業も増えています。ここからは、オンライン施策を活用したことで、販路開拓に成功した事例を紹介します。

製造業/C社

C社は産業用機械などを扱うメーカーです。以前は展示会への出展や見学会の実施など、オフラインでの販促を行ってきました。しかしコロナ禍で対面対応が困難になったため、オンライン施策によって製品の魅力を伝えることにしました。

自社Webサイトの制作は、外部の販路開拓支援事業で紹介されたアドバイザーからのサポートを受けることにしました。そのほか、MAツールの導入も実施。顧客のニーズに寄り添いやすくなったことで、よりオンラインによる販促に注力できるようになりました。

外部からサポートを受けたことをきっかけに、オンラインによる販路開拓を実施できた好事例です。

製造・販売業/D社

D社は非鉄金属素材の販売・加工事業などを展開するメーカーです。

同社では以前から公式サイトの作成・運営を自社で行っていましたが、SEOやリスティング広告は未実施でした。一方、事業特性からアクセス数やお問い合わせ数は多かったため、改めてオンラインを活用したPRに力を入れることにしました。

リスティング広告とメールマガジンの配信を開始したものの、自分たちのやり方で成果が出るのか不安があったため、外部の販路開拓支援事業で紹介されたアドバイザーの支援を受けました。アドバイスを受けながら、リスティング広告やSEO、ホームページの改善等に取り組んだことで、オンライン資料のダウンロード数増加という成果を得ました。

外部のサポートを通して、オンラインによる潜在顧客へのアプローチを実現した好事例です。

他社とのコラボレーションによる販路開拓事例

他社とのコラボレーションと新しいコミュニケーションチャネルの活用で、販路開拓に成功した事例を紹介します。

小売業/E社

ファストフード事業を展開するE社が、ゲームメーカーF社の展開するモバイルゲームという新しいコミュニケーションチャネルを活用し、成果を上げた販路開拓事例です。

F社の位置情報を活用したモバイルゲームのプレイヤーがE社の店舗に行くと、ゲームを進めるための道具が手に入ったり、バトルなどのさまざまなアクションができたりします。このパートナーシップを締結したことによって、E社の売上は前月比で約16%も増加するなど、大きな成果を上げました。

販路開拓に活用できる補助金と助成金

オンライン施策、オフライン施策いずれの場合も、販路開拓にはコストがつきものです。中小企業をメインに、販路開拓に活用できる補助金と助成金を解説します。

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓などの取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するための補助金です。申請類型は、通常枠・賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠の6種類。基本となるのは「通常枠」です。

通常枠は、小規模事業者が自ら作成した経営計画に基づいて、商工会や商工会議所の支援を受けながら実施する販路開拓等の取り組みを支援するものです。通常枠で申請した場合、補助金の上限額は50万円、補助率は2/3となります。

補助対象となる経費は大きく11種類。ウェブサイトやECサイトの構築や更新・開発にかかる経費などのウェブサイト関連費、新商品の試作品開発に伴う経費などの開発費などがあります。

※2023年3月時点の情報です。

共同・協業販路開拓支援補助金

共同・協業販路開拓支援補助金とは、中小企業・小規模事業者等を支援する、地域振興等機関に支払われる補助金です。地域振興等機関とは、地域の商工会や商工会議所、中小企業団体中央会、商店街振興組合などに該当します。

共同・協業販路開拓支援補助金の目的は、補助金の支援を受け、地域の産業・雇用を支える事業者の中長期的な商品展開力、販売力の向上を図ることです。実際に補助金を受け取るのは地域振興等機関であり、中小企業に補助金を直接支払う制度ではありません。しかし、地域振興等機関が販路開拓の取り組みを支援するため、最終的に中小企業が恩恵を受けられる特殊な補助金です。

※2023年3月時点の情報です。

自治体の助成金

商工会議所などが実施する補助金のほかに、自治体でも中小企業向けに販路拡大の支援をおこなっています。

一時支援金等受給者向け販路開拓サポート助成事業

東京都が実施する「一時支援金等受給者向け販路開拓サポート助成事業」も、自治体が実施する助成金の一例です。

新型コロナウイルス感染症の拡大や、それに伴う緊急事態宣言等の影響で売上が減少した都内中小企業者を対象に、展示会参加やWebサイト作成、チラシやカタログ制作などの販売促進費を補助。助成金の上限は150万円、助成率は助成対象経費の4/5以内です。

※2023年3月時点の情報です。

※2023年3月時点で事前エントリー期間は終了しています。

また、都道府県単位だけでなく、市区町村単位でも販路開拓の補助金・助成金制度を実施しています。今回は特徴的な取り組みをおこなっている、市区町村の制度を2つ紹介します。

四万十市:四万十市産業振興推進総合支援事業費補助金

地域の素材を活かした商品の企画・開発、加工、販路拡大などの生産から販売までの取り組みや観光振興に資する取り組みを総合的に支援する制度です。

調査・研究段階での支援では、視察研修、市場・販路調査、アドバイザー招致などが当てはまります。1事業につき単年度の補助上限は50万円、補助率は10/10以内です。事業化・推進段階の支援では、商品開発・改良、販路開拓、観光交流促進、施設・設備等整備などが当てはまります。補助上限は、ソフト事業は100万円、ハード事業は350万円、補助率は2/3です。

※2023年3月時点の情報です。

高松市:伝統的ものづくり振興事業補助金

高松市内で伝統工芸品のものづくりに携わる事業者に対し、経費の一部を補助する制度です。市内開催の展示会への出展やPRなどの販路開拓事業、担い手育成、ブランド力向上事業が対象で、補助上限は50万円、補助率1/2以内です。

※2023年3月時点の情報です。

まとめ

販路開拓は売上の増加だけでなく、新たなビジネスチャンスを生む効果もあります。オフライン施策、オンライン施策を活用して販路開拓を成功した企業の事例は、販路開拓が課題の企業にとって良い参考となるでしょう。

また、販路開拓するにあたってコストがネックになっている場合、補助金や助成金をうまく活用することも良いでしょう。中小企業を対象にした補助金、助成金の制度は、全国対応の小規模事業者持続化補助金に加え、自治体限定の制度もあります。所在地の自治体で、どのような支援を実施しているか確認してみてはいかがでしょうか。

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