組織活性化とは?目指すべき組織の状態と実現方法、取り組み事例を紹介(後編)

人事

2024年11月27日(水)掲載

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組織活性化とは、共通の理念に基づいて構成員が主体的に活動できる状態をつくることを指します。 企業が継続的な成長を目指すうえでは、組織活性化を図り、仕組みのうえから力強い組織づくりを実現することが大切です。

前編では、組織活性化の目的や重要性についてなど、また組織活性化に向けたフレームワークの3ポイントのうち2つをご紹介してきました。 今回はフレームワークの3ポイント目に加えて、実際に組織活性化に取り組む企業事例など、より具体的な内容を見ていきましょう。

組織活性化に向けたフレームワーク②

組織活性化を実現するためには、ゴールまでの全体像をイメージして取り組むことが大切です。以下の項目では、組織活性化に活かせるフレームワークとして、3つのポイントをご紹介します。

マッキンゼーの7S

「マッキンゼーの7S」とは、アメリカの大手コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で提唱された理論であり、組織の重要な資源を「3つのハード」と「4つのソフト」に分けて管理・分析する考え方です。自社の現状を細かく分析し、組織活性化に向けて何から着手すべきなのかを明確にしたいときに活用できます。

ハード面の3S

ハード面の3Sは組織の構造に関する3つの要素を指します。

  • Structure(組織構造)
  • Strategy(戦略)
  • System(システム)

「組織構造」とは、組織の形態や仕組み、指揮命令系統などを指す要素です。組織構造に問題があれば、いくら優れた理念や仕組みを整えても、組織が活性化する前につまずいてしまいます。

そのため、機能的であるかどうか、権限が明確化されているか、求められる労働環境やはたらき方に適しているかなどを一つずつ見直すことが大切です。続いて、「戦略」は事業の方向性や経営戦略を示します。

自社の目標を達成するための具体的な取り組みのことであり、前述したOKRによって管理するのも効果的です。また、組織が持つ強みや競争優位性に基づいて決められた行動方針や、資源配分の方法なども含まれます。

「システム」は企業の人事評価制度や規定、情報管理の仕組みなどのことです。決められた仕組みが正しく稼働するかどうか、効率的に設計されているかどうかが重要な観点となります。

ソフト面の4S

ハード面の3Sはいずれも目に見えるため、組織活性化に向けて手を加えやすいのが特徴です。しかし、理想的な組織づくりを行うためには、内面にあたるソフト面の4Sにも目を向けなければなりません。

ソフト面の4Sとは次の要素を指します。

  • Staff(人材)
  • Skill(スキル)
  • Style(スタイル)
  • Shared value(共通の価値観)

「人材」は従業員の能力を示す要素です。また、人材の配置や人事制度、人材育成の取り組みなども人材に含まれます。

「スキル」とは組織が持つ能力や競争優位性のことです。技術力やマーケティング力、営業力といった組織全体の能力を示す要素です。

「スタイル」とは組織文化や社風のことであり、企業全体としての雰囲気や従業員同士の目に見えない共通点などを指します。そして、「共通の価値観」とは、経営理念や経営方針などの組織全体で共有されるべき価値観のことであり、先ほどご紹介したミッション・ビジョン・バリューにあたります。

ハードとソフトの7つのSを見直すことで、現状の課題が浮き彫りになり、組織活性化に向けた施策を検討しやすくなるのが狙いです。ソフトの4Sはハードと比較して表面化しにくいため、じっくりと時間をかけて分析しましょう。

7Sを見直すステップ

マッキンゼーの7Sを活用するためには次の4つのステップを意識することが大切です。

  1. 現状分析
  2. 問題点の明確化
  3. 改革案の作成
  4. 改革案と現状との比較

まずは7Sのそれぞれについて分析を行い、組織の強みと課題を探ります。「専門性の高い人材がそろっている一方で部門間のつながりが弱い」など、自社の現状を客観的に評価し、課題を洗い出すことが大切です。

現状分析で明らかになった課題はさらに深く分析・検討を行い、具体的な問題点をピックアップします。そして、組織活性化に向けてどの問題から着手すべきであるか、優先順位を話し合いましょう。

続いて、問題点を克服するための改革案を作成し、現状と比較しながら有用性をチェックします。このときには、7Sの視点に立ち返り、そのほかの要素とのバランスを考慮することが大切です。

7Sはそれぞれが相互に作用し合っているため、ほかの要素にどのような影響を与えるかも考えておく必要があります。

組織活性化を実現するための取り組み例

組織活性化を実現するうえでは、コミュニケーションの仕組みに注目してみることも大切です。以下の項目では、社内の人間関係を活性化させるための取り組み方法として、4つの具体例をご紹介します。

上司との定期面談、ななめ面談

若手のメンバーや新入社員に対しては、上司との1on1による面談を定期的に行い、こまめに状況を把握することが大切です。各メンバーがありのままに本音を話せるように、上司はなるべく途中で口を挟まず、丁寧に耳を傾ける姿勢が大切です。

そのうえで、直属の上司が担当するだけでなく、部署や職種を超えた「ななめ面談」も併用していくのもよいでしょう。ななめ面談は、距離の近い相手ではかえって話しにくいようなデリケートな問題にも触れやすくなるのがメリットです。

他部署のマネージャーなどのななめの関係性にある相手なら、現在の業務に関する悩みや不満、上司との人間関係のトラブルなどの話題も自然と話しやすくなります。また、異なる業種に就く相手の話に触れることで、自然と仕事そのものに対する視野も広がるのが利点です。

ACHIEVEミーティング

ACHIEVEミーティングとは、個人とチーム、会社の目標についてチーム全体で語り合える場所のことです。半年に1~2回ほどの頻度で開催し、1日かけてじっくりと目標を共有し合えるのが理想とされています。

ミーティングの具体的な流れは次のとおりです。

  1. 会社やチームの目標について自由に話す
  2. 個人の目標について発表し合う
  3. 目標をカテゴリ別に分ける
  4. チームの目標に落とし込む

ACHIEVEミーティングの大きな特徴は、会社やチームの目標を従業員の目線から自由に語り合えるところにあります。周りの素直な意見に触れるなかで、企業理念やビジョンにさまざまな角度から向き合い、より深く理解できるようになるのが狙いです。

また、個人の目標と重ねて考えることで、組織と個人の目的が一致しやすくなるのもメリットです。

マルチ担当制

マルチ担当制には、「一人が複数の部門をまたぐ」「一つの業務に複数人の担当者がつく」という2つの意味があります。一人が複数の部門を担当することで、全社的な視点が身につき、自身の業務の位置づけを客観的にとらえられるようになるのがメリットです。

また、一つの業務を複数人で担当することで、負担が増えてしまうのを防ぎます。複数人で協働することで意思決定の幅が広がったり、引き継ぎが不要になったりするのも利点です。

ただし、担当者が増えることにより、主体性が損なわれてしまう可能性にも目を向けておく必要があります。各業務にメイン担当とサブ担当をつけて、責任と権限を上手に配分するとよいでしょう。

ITツールの導入

コミュニケーションを円滑に図るためには、ITツールを適切に活用することも大切です。まずは、日常業務で使う基本的なツールを全メンバーが使いこなせているかをチェックし、必要に応じて学習できる仕組みをつくりましょう。

そのうえで、既存の連絡手段として紙ベースや電話、口頭が中心になっている場合は、チームの規模やスタイルに合ったチャットツール、SNSツールを導入することが大切です。チーム全体でツールを使えるようになれば、管理の負担は大幅に軽減され、社内連携の密度も高くなります。

まとめ

組織活性化は自社の人材が思う存分に能力を発揮できる環境を整え、組織全体としての生産性を向上させるための取り組みです。適切に実施できれば、自社の競争力を高められるとともに、従業員満足度も向上させられるようになります。

まずは活性化に向けた取り組みとして、ミッション・ビジョン・バリュー・パーパスの検討から企業理念を明確化することが大切です。そのうえで、OKRやマッキンゼーの7Sなどのフレームワークを活用し、組織活性化の具体的な計画を立ててみましょう。

その一方で、企業理念の明確化には自社の目指す未来像を言語化し、整理する必要もあるでしょう。自社が大切にしている価値観は、改めて言葉にすると一般的なものに落ち着きがちで、「自社らしさ」といった独自性を導き出すことが難しい場合もあるかもしれません。 そんな時にポイントとなるのが、自社を「客観的な視点」で見ることです。

そして、これに一役買うのが、「こうした要素も、貴社ならではの価値観なのでは?」とフラットな視点でアドバイスできる、外部人材の存在です。 「HiPro Biz」は、「自社の組織活性化に取り組みたい」など数多くのご相談に対し、外部の専門家であるプロ人材とともにご支援してきました。企業理念の明確化、そして組織活性化をご検討であれば、ぜひお気軽にご相談ください。 (編集/d’s JOURNAL編集部・HiPro Biz編集部)

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