サービス導入事例

三井住友カード株式会社

売上:
1000億円以上
業種:
金融

新規事業

約半年でサービスローンチを実現!ユーザーのリアルな声が、社内プロセスを突破するファクターに。

データ戦略部 部長代理
  • 登坂 崇平 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    新サービスのコンセプトは固まったものの、SaaS領域の知見を持つチームメンバーがおらず、サービスの有用性や社会への影響に対する仮説検証が上手く進められずにいた。

  • AFTER導入による成果

    プロ人材との協業で、競合調査やデプスインタビューを実施。ユーザーのリアルな声をもとに、モックアップの改修や社内稟議を進め、支援開始から約半年でサービスローンチへ。

新サービスにおいて、自社の仮説を裏付ける根拠がつかめていなかった

「Have a good Cashless.」をキーメッセージに掲げ、キャッシュレス社会の浸透に向けて、多様な事業を展開する三井住友カード株式会社。中でも注力事業の1つとして、同社は1stパーティーデータとなる決済データを活用し、顧客の属性や購買実績などを可視化するデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を展開している。

Custella(カステラ)は、市場の動向や企業の課題をデータによって解き明かし、マーケティング戦略の強化につなげるためのサービスだ。このCustella(カステラ)の名を冠する新たなサービスとして、同社は商圏分析をテーマとしたSaaSビジネスの立ち上げを計画していた。

当時の状況について、データ戦略部の登坂氏は、「サービスの構想は固まっていたものの、それが本当にお客様の期待に沿えるものかどうかという点において、私たちにはSaaS領域の知見がなく、確証をつかめずにいました。だからこそ、SaaS領域の知見に加えて、顧客起点での思考をお持ちのプロ人材を求めていたんです」と振り返る。

同社の相談を受け、HiPro Bizが提案したのが、サブスクリプション事業×新規顧客獲得を得意とし、CX(カスタマー・エクスペリエンス)領域でも豊富な実績を持つK氏だ。同氏の印象について、「スキル面でのフィット感はもちろん、担当者のレベルに合わせて情報の粒度感を調整していただける点が、非常に印象深かったです。この方であれば、中立的な立場でサービスの有用性や社会への影響を判断でき、私たちが開発目線で語ったときに、ユーザー目線に引き戻してくれるという安心感がありました」と登坂氏は語った。

そして、同社はK氏を迎え、新たなCustella(カステラ)サービスのローンチに向けたプロジェクトがスタートした。

ユーザーの声が後押しとなり、サービスローンチに向けた社内プロセスが円滑化

K氏との取り組みは、ワーディングによる言葉の整理から行われた。サービスコンセプトに対して、ユーザー目線での体験価値に基づき、訴求すべき言葉を固めていく。

さらにK氏は、ワーディングと並行して競合調査を進めた。この調査資料について、登坂氏は「何より情報の濃さに驚きました。サービスの名称、提供会社、価格帯という基本的な情報を網羅するだけでなく、自分自身がテストユーザーになって『この部分が○○という観点で見づらい・使いづらい』など、UI・UXの評価まで記載されていたんです。これだけのことを社内でやろうとするとかなりの工数がかかってしまうので、情報のインプットや前提条件のブラッシュアップという点でも大いに役立ちました」という。

さらに、競合調査の完了後には、同社はK氏より既存顧客へのデプスインタビューの提案を受けた。デプスインタビューとは、ユーザーとの対談形式で行われる市場調査で、購買行動におけるユーザーの意思決定プロセスの把握が本来の目的となっている。今回はサービス開始前にユーザーの声に耳を傾けることで、商圏分析の実態を知り、サービスへの客観的な評価を得ることが狙いだった。

デプスインタビューはK氏主導のもと、10社の既存顧客に対して行われた。商圏分析におけるユーザーの実態としては、「チームの構成人数」「商圏分析に使用するツール」「具体的な意思決定プロセス」などのヒアリング項目が用意された。

また、現場の実態を把握したうえで、サービスコンセプト、モックアップによるUI設計、具体的な利用シーン、価格設定などを説明した。

実際にインタビューを行った既存顧客からは、「決済データのボリュームが多く、エリア別で決済傾向が分かるのが良い」など、サービスを求めるユーザーが世の中にいることを裏付ける意見が得られた。さらに改善の要望を集めることにも成功し、このフィードバックに基づいてモックアップの改修や営業資料のブラッシュアップが進んだ。

デプスインタビューの取り組みに対して、登坂氏は「社員同士やパートナーとの意見交換は、これまで何度かありました。しかし、それはあくまで仮説で、本当に上手くいくのだろうかという不安があったので、デプスインタビューは不安を解消する良いきっかけでした。当日は私自身も参加させていただいたのですが、プロ人材の方が社外の人間というのもあってか、お客様が気持ちよく話されているのが印象的だったのを覚えています。しかもサービスに対して肯定的な声が多く、価格も適正と評価していただけたことで、自分たちの仮説は間違っていないと確信を持つことができました」と感触を語る。

さらに、サービス開始前に「世の中に求められている」という確証を得られたことは、プロジェクトメンバーの自信にもつながった。特に開発会議、社内稟議、営業向けのリリース勉強会などの各プロセスにおいては、デプスインタビューで得た情報が納得感を生み、スムーズに進められたという。

デプスインタビューの情報を納得感のあるかたちに落とし込めたのは、プロ人材から提出されたレポートの品質も影響している。「インタビューは話が逸れやすく、意外とまとめるのが難しいんですが、プロ人材の方からいただいたレポートには、顧客ごとの傾向や分析・評価がきれいにまとめられていました。モックアップへのリアクションについては、『すぐやるべきこと』『今後検討したほうが良いこと』などの優先順位を付けていただけたことで、そのまま開発会議の情報ソースとしても使えたのは大変ありがたかったです」と、同氏は振り返る。

短期間でのサービスローンチが実現し、本取り組みが社内でも評価される

競合調査やデプスインタビューにより、社内でのコミュニケーションが円滑に進み、消費分析地図サービス「Custella Maps(カステラ マップス)」が正式にローンチされた。これは支援開始から約半年後の出来事だ。

本プロジェクトは、プロ人材や開発ベンダーの支援を受けつつ、社内体制としては4名で推進された。それでも短期間でサービスローンチにこぎ着けたのは、パートナーとの分業によって、社内のメンバーが開発や稟議などに専念できたことが大きかったという。

本プロジェクトを振り返った際、登坂氏は「仮説検証の大事さを改めて知れたのが良かったと感じています。お客様の声が大切ということは分かっていたものの、想像で補っていた部分が大きかったんだと、今回のプロジェクトを通じて気づかされました。システム開発を伴う新サービスの立上げにおいては、予算や期限、ベンダーの技術力など、実現性で物事を判断してしまうケースが多々あります。でも、本当に重要なのは、お客様がどのような価値を求めていて、サービスの有用性をどのように判断しているのかという視点です。今回のプロジェクトでは、顧客視点で情報を集めるプロセスを、一緒に体験できたのが大きかったと思います」と語る。

特にデプスインタビューに関しては、SMBCグループの理念である「Five Values」との親和性が高く、取り組みが社内でも評価されているという。別のプロジェクトでも同プロセスを取り入れる動きも出てきているようだ。

また、Custella Maps(カステラ マップス)の反響としては、順調に契約の獲得が進んでいる。加えて主幹事業となるアクワイアリングとの相性も良い。「端末を置いて、そこで得たデータを分析することで、店舗の改善につながるというサイクルがあり、トータルソリューションとしての価値が高いと感じています。今後は決済プラットフォーム「stera(ステラ)」や国際ブランドとの協業によるデータ可視化にも取り組んでいきたいと考えています」と、登坂氏はさらなる付加価値の提供を語った。

出退店計画や開業後の検証・分析を支援する、Custella Maps(カステラ マップス)の今後の成長に期待したい。

企業名
三井住友カード株式会社
設立
1967年12月26日
従業員
2,627名(2022年3月末日現在)
売上
取扱高 40兆684億円(2021年4月~2022年3月)※SMBCファイナンスサービス合算
事業内容
クレジットカード業務、デビットカード・プリペイドカード・その他決済業務、ローン業務、保証業務、その他付随業務

担当プロ人材より

三井住友カード株式会社様は、業界のリーダーであり、ブランド力が高く、影響力を持つ企業です。事業規模が大きいため、データ活用により明確な価値のある新サービスを提供できることが容易に想像できました。最初に案件のご紹介を頂いた時に「是非ご支援したい」と思いました。

クライアントのお客様が直面する問題点やニーズをもとに、サービスを設計することを心がけました。お客様を直接インタビューする機会を通じ、仮説を検証し、新サービス設計につながるインサイトや顧客体験向上のための示唆を得ることができました。

クライアントの強みを活かしつつ、顧客視点にこだわることで、革新的なサービスを生み出すことができると感じました。クライアントと私で役割分担をし、協力しながら並走。期間が限られている中で、様々なチャレンジに直面しましたが、ご一緒に解決していきました。新サービスの提供がはじまり、ウェブサイトでサービス紹介を見るのは感無量です。

登録プロ人材 K氏 戦略コンサルティング会社、外資系金融機関、外資系EC企業を経て、2018年に独立して自らのコンサルティング会社をスタート。スタートアップから東証プライム上場企業まで、様々な成長ステージにある企業の戦略アドバイザーを務める。支援テーマはデジタル戦略・マーケティング、新規事業・サービス開発、サブスクリプション・SaaS事業開発、顧客体験設計・向上など。支援企業の業界は金融・メーカー・サービス業・EC・ソフトウェア・公益事業などにわたる。

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