サービス導入事例

株式会社SmartHR

売上:
その他(非上場・非公開)
業種:
広告・情報通信サービス

営業

地方エリアの販路拡大にプロフェッショナル人材が参画。地域金融機関との連携で地域企業との接点が拡大し、導入企業も増加。自社内の業務効率化も実現

社長室・事業開発グループ
  • 山下 幸太 氏
  • 小杉 和明 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    地方での顧客獲得を目指していたものの、外部パートナーの不足によって足掛かりを築きにくい状況で、かつ地域性の理解や具体的なアプローチ方法などに課題があり、思うように成果を得られずにいた。

  • AFTER導入による成果

    4行の地域金融機関とビジネスパートナー契約を締結し、コンスタントな企業紹介を実現し、中四国エリアへの導入社数も増加。 さらにノウハウを社内にも活用し、約3割の会議時間を削減した。

プロダクトのさらなる成長には、地方のネットワークが必要だった

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を展開し、人事・労務手続きの業務効率化や評価・人材マネジメントを支援する株式会社SmartHR。同社は主幹事業となるSmartHRのさらなる成長を目指して、地方都市を中心とした販売ネットワークの拡大を計画していた。

機能改善やAPI連携などを通じて、プロダクトの価値を高めてきたことで、SmartHRの登録社数は50,000社(2023年1月時点)を突破している。しかし、プロダクトが着実に成長していく一方で、同社は地方におけるサービス認知度に課題を感じていた。

当時の状況について、社長室に所属する山下氏は「都心部でのお取引は増えていたものの、地方ではサービスをご利用いただく企業様だけでなく、外部パートナーとの接点も少なかったです。しかし、これからもプロダクトが成長していくためには、地方顧客の獲得を従来のWebからのお問い合わせに頼りっきりになるわけにもいきません。だからこそ、私たちが積極的にお客様にアプローチしていくためにも、地元に根付いているパートナー企業の存在が必要でした」と振り返る。

そこで同社は、地方の中でもユーザー数が少なく、支社の手が行き届かないこともあり、認知度に課題を感じていた中四国エリアに対して、販売ネットワークの構築を決めた。しかし、取引先からの紹介をもってしても、地方の特色を上手くとらえることができず、思うように成果が得られなかったという。そのような状況を打開するため、同社は地域に根付いたプロ人材の協力を求めた。

複数のサービスを検討する中で、最終的にHiPro Bizを選んだ理由の1つとして、山下氏はコミュニケーションを挙げた。「課題が抽象的だったとしても、一緒に整理しながら進められる安心感がありました。こういう課題があるなら、このようなスキルを持った方がマッチするのではないかという目線合わせもあって、悩み相談のような感覚で進められたのが良かったです」と当サービスの印象を語った。

そして、中四国エリアの企業にSmartHRを届けるため、金融機関との業務提携をはじめとした基盤づくりを目標に、マーケティング戦略や営業戦略を強みとし、瀬戸内地方でも幅広い活動を行っているX氏を迎え、プロジェクトがスタートした。

プロ人材と協同で課題を乗り越え、販売ネットワークの基盤を構築

X氏との取り組みは、営業戦略の協議から始まった。開拓先となる地方企業に対して、アプローチする主な業種を絞り込むうえで、X氏は瀬戸内地方に観光関連産業が多いことに目を付けた。中四国エリアで地盤を固めるには、瀬戸内地方の観光関連産業は外せない。そこで同社は、観光業・宿泊業・小売業をアプローチ先として選定し、企業の紹介元として地域金融機関との連携を目指した。X氏と役割分担を行い、地域金融機関との打ち合わせに臨む。

しかし、ここで予期せぬ落とし穴が見つかった。人事領域に特化したITサービスというSmartHRの特徴が地域金融機関に上手く伝わっておらず、具体的な活用イメージがしにくいという反応が多かった。

この打開策として、同社はプロ人材のアドバイスを受け、導入事例集の作成に着手した。地域金融機関に活用イメージを持っていただくために、作成段階では人事やITの専門用語をなるべく使わず、導入前後の変化を数字で示すことに注力した。他の金融機関での事例や、業種単位で情報も盛り込み、資料のバリエーションを増やしていった。

この導入事例集が説得材料となり、金融機関の担当者との商談が進展し、ビジネスパートナー契約の締結に至った。この契約を機に銀行からの紹介を受け、地方企業の開拓の足掛かりが整う。

地方企業との商談では、お客様と対面でコミュニケーションを取るため、東京から担当者が中四国エリアに赴いた。オフラインを選んだ理由として、事業開発グループで課長を務める小杉氏は、「プロ人材の方からの助言もあって、これから信頼関係を構築していくためには、同じ空間にいるからこそ生まれる一体感が大切だと考えました。銀行の方も大切なお客様を紹介するわけですから、距離を感じるオンラインよりも、現地で一緒に提案したほうが安心していただけるだろうと思いました。隔週ぐらいで行き来していましたが、結果的には銀行の方やお客様にも喜んでいただけて、足を運んで良かったと感じています」と語った。オフライン特有の共在感覚が、信頼関係の醸成にも効いていたようだ。

企業紹介数が大幅に増加し、ノウハウが社内の業務効率化にも寄与

本プロジェクトでの取り組みを通じて、地方企業の開拓は好転した。接点がほぼゼロだった状態から、4つの地域金融機関とビジネスパートナー契約を締結し、コンスタントに紹介数が増加している。「SmartHRの現状として、地方企業からのサービス認知度はまだ課題があると感じる一方で、金融機関からの認知度は上がってきている実感があります」と、同社はプロジェクトの手ごたえを語った。

この成果要因について、同社は地道なフォローを挙げる。テレワークが普及し、コミュニケーションの非対面化が浸透するIT業界において、商談はオンラインが一般的だった。しかし、本プロジェクトを通じて対面でしか得られない価値を感じ取った同社は、リソースが限られていた状態であっても、必ず現地に足を運び、対面でのフォローを徹底した。この地道な取り組みが成果に結びついたと、同社は振り返る。

さらに地域金融機関との契約締結や、地方企業へのサービス提案において、同社は多くの壁に突き当たった。そのような状況下でも同社が前に進むことができたのは、一緒に作戦を練り直し、新たな手立てを講じるプロ人材の存在が大きかったという。

プロ人材について、「こちらの目線に合わせてお話していただけたおかげで、気軽に相談でき、お願いもしやすかったと感じています。また、言葉の節々に中四国エリアを盛り上げたいという強い意思を感じました。これほどの熱意を持った方と一緒にプロジェクトを進められたからこそ、成果を得ることができたと考えています」とコメントしている。

そして本プロジェクトは、同社の業務効率化にも影響を与えた。プロジェクト内ではプロ人材の提案によって、案件や面談の進捗などの情報を、スプレッドシートでリアルタイムに共有していた。そして、短時間での定例会を実施することで、本プロジェクトの方向性のすり合わせや、パートナーとの交渉方法のアドバイスといった、会話の方が意思疎通しやすい内容に時間を割いた。これによって不要なコミュニケーションが減り、テンポよく仕事ができたという。同社はこの気づきを社内にも取り入れ、これまでの会議で発生していた無駄な共有をなくし、本質的な会話に時間を割くことで、ミーティング時間を3割ほど削減した。

今後は中四国エリアとより深く向き合っていくために、プロ人材から得た知見や、本プロジェクトで得た基盤を活用して、中四国エリアの販路拡大を本格化する。闇雲に効率化するのではなく、地域のコミュニティやカルチャーに合わせた手法で、これからも同社は地道にネットワークを広げていく。

企業名
株式会社SmartHR
設立
2013年1月23日
従業員
727名(うち役員・正社員693名/2022年11月1日時点)
売上
非公開
事業内容
SmartHRの企画・開発・運営・販売

担当プロ人材より

SmartHR様は、バックオフィスの社員にとって、さらに付加価値の高いアウトプットを実現するクラウドサービスです。既にベンチャーから大企業まで数多くの導入事例があり、企業向けに提案する資料やトークも確立していました。

しかし、地方を取り巻く環境は決して一様では無くエリアによって異なるため、大都市では通じたロジックがなかなか地方では通じません。苦労の末、地方を撤退する在京企業を、私自身、数多く見てきました。

そこで、SmartHR様には、それぞれの地方で異なる課題をまず理解してもらい、あくまでも地方企業を主語に据え、SmartHRがどのような課題を解決するサービスであるか伝えるように、資料やトークを一緒に練り直しました。

そして、SmartHR様が末永く地域に貢献したい、という想いに基づく計画をお持ちだったので、この計画をトークの前面に押し出すことで、多くの企業が真剣に話を聞いてくれました。

このように、SmartHR様が常に課題を正確に理解することに務め、素早く行動に移すという社風だからこそ、成功することができた案件だったと思います。

登録プロ人材 X氏(50代) 東京と地方の両方で様々な業種の企業経営経験があり、在京企業の地方進出を支援している他、企業経営、マーケティング、DX、地方創生、サステナビリティといったテーマで経営者の壁打ち役や、幹部向け研修などを行っている。

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