サービス導入事例

中外テクノス株式会社

売上:
100億円~1000億円未満
業種:
化学

研究開発

社会的に求められる厳格な分析基準。立ちはだかる数々の現場課題。その解決だけに留まらない、プロ人材としての「介在価値」

環境事業本部
  • 取締役事業本部長
    石高 星太郎 氏
  • 技術統括部 副部長
    山本 泉 氏
  • BEFORE導入前の経営課題

    環境調査・化学分析における高水準の品質規格の認証取得や、緊急度が高まった環境分野の新規分析手法の開発において、社内の知見不足やプロジェクト全体を俯瞰するリーダー的役割の不在などさまざまな課題があった。

  • AFTER導入による成果

    米国の規格条件に精通したプロ人材の支援により、目標期間内での試験所認定取得に成功。分析方法の新規開発についても、長年分析機器開発に携わった豊富な経験に基づくアドバイスなどにより開発が大きく加速、同じく期間内に開発が完了した。

厳格な検査規格への対応、高まる新技術開発ニーズ…求められる声とともに突きつけられる現場課題の数々

環境や資源・構造物など、多分野での調査・分析・ソリューションを手がける中外テクノス株式会社。近年、持続可能な社会構築に向けての取組みが世界的に求められていることを背景に、環境保全の基準がいっそう厳しくなっている。そんな中、同社でも新規の分析・検証依頼において、より厳格な米国の検査規格に対応した品質規格(試験所認定)の取得が求められることとなった。

同社では、国内米軍基地関連施設や商業施設における排水の水質診断や有害性の有無の検証、再利用方法の検討依頼を受けた。有害物質である有機フッ素化合物(PFAS)が排水として施設外に出て行かないようモニターし、それが含まれる場合はその原因や影響範囲も検討するというものだ。

検査にあたっては、米国環境保護庁(USEPA)が定めている規格に則った項目の遵守が要求される。検査手順は明記されているものの、非常に高い基準であり、それを実施できることを示すためにもUSEPA規格によるPFAS分析の試験所認定(ISO/IEC17025)が必要だった。
ISO/IEC17025を取得しておかなければ、今後のPFAS検査依頼減少も危惧される。そのため、USEPA規格への適応が喫緊の課題となった。

一方で新たな技術や検査項目についても、求められる基準が年々高くなってきている。
日本政府が進める「カーボンニュートラル」の達成に向け、CO2の回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage ; CCS)技術が注目されている。このCCS技術の一つに「アミン溶液」を使うものがあり、同社でも数年来研究を進めていたが、ここに来て開発の緊急度が高まった。ある案件の入札条件に、排ガスや溶液中のアミン類分析の仕様が示されたのである。

これらの背景をもとに、「USEPA規格によるPFAS分析のISO/IEC17025認定取得」と「CCS新技術(アミン類の分析法)の開発」という2つの目標に向けたプロジェクトを開始、分析技術室内に若手社員を主体とした分析開発グループを発足させた。環境事業本部の石高氏は当時をこう振り返る。

「我々は受託分析を事業の大きな柱とする一方、並行しながら分析開発も行っていましたが、通常業務との優先順位の関係もあり、なかなか思うように開発が進められていませんでした。この状況を打開するため、開発に向けて新規採用した1名と社内から抜擢した2名で研究開発専門のセクションをスタートさせました」

開発分野強化のため、人員を増加しての取組み。しかし、目標達成にはいくつもの壁があった。一つは、英文の読解力や米国規格に精通した知見の不足。英文で記載された規格の行間の余白に隠された細かな意味や、米国での背景事情まできちんと読み取れるのか、的確に対応できるのかという懸念があった。
一方、分析業務を分業制としていた関係で、かつて社内にいた業務を横断して全体を把握・俯瞰できる人材が不足していたこと、さらにこれまでにない全く新しい分析方法を開発するにあたって、社内のメンバー間で発想力がパターン化し、行き詰まりがちな状況であったことなど…あらゆる課題が山積していた。

高い要求にこたえるための、妥協できない要件。その要件を満たすプロ人材との出会いがプロジェクトの活路を開く

そのような状況にある中、それまで同社内で採用活動にdodaを利用していた縁もあり、「HiPro Biz」の担当者からプロ人材活用の提案を受けた。

「従来の採用アプローチとは異なり、プロ人材活用の提案をするサービス自体が初耳でしたが、プロジェクト単位で活用できる点はとても魅力的でしたね」

そう嬉しそうに語る石高氏。同社は、山積する課題解決のために不可欠なプロ人材の要件として、化学分析における業界経験をはじめ、分析機器を使用した分析手法の開発について指導できるスキルなどを挙げた。
発想法やアプローチ方法など人材育成を含めたコンサルティング、そして米国が提示する英文での規格書の読み込みや理解、それに伴うアドバイスなど業務範囲は多岐にわたる。豊富な実務経験に留まらず、人材を教育するための資質も問われる難度の高いポジションだった。

正直なところ、「こんな人材、なかなかいないのでは…」と石高氏は思ったが、課題をクリアするためには必要なこと。余すことなく要件を伝えたところ、「HiPro Biz」からプロ人材候補としてS氏を紹介された。

S氏は、大手分析機器メーカーの開発部署で長く研究に携わった経歴を持つプロ人材だ。同社でも導入する各種分析機器やアプリケーションの開発分野にも精通。さらに米国のEPA規格の読み込みもこなし、論理的に対応できる理想的なスキルを持ち合わせていた。
紹介されたS氏の魅力的な経歴はもちろん、「HiPro Biz」自体のサービス方針にも関心が高まり、サービス利用を決定。S氏をプロ人材としてプロジェクトへ迎え入れることになった。


S氏はチームのコアメンバーとして精力的にプロジェクトへ参画。例えばアミン類分析においては、さまざまな情報がある中で基礎知識や知見に基づき整理し、最適なものを取捨選択していった。また多種多様なアミン類のさまざまな化学的性質に応じ、独自の視点をもって最適な分析条件を模索するなど、社内のメンバーとは異なる角度やセンスでアイディアを共有した。

さらにUSEPAの規格書においては、米国独自の感覚や文面だけでは読み解けない部分をメンバーとディスカッションしながら、期限内で何をすればいいのかを整理し、明示。開発チームの英文翻訳の精査や、英文規格書の規定背景を推察・指摘しメンバーへアドバイスするなど、その活躍は多岐にわたった。
その知見をいかんなく発揮しチームを刺激し続けるS氏について、山本氏はこう語る。

「S氏は分析機器をメーカー側からの視点で理解されていて、理論や知識といった下地がしっかりされた方。我々が行き詰まっているときに、その原因を的確に指摘してくれました。
現場で直面する課題においても、きちんと原因を特定し、その解決策を論理だて言語化してアドバイスしてもらうことができました」

当初の目標達成だけに留まらない、プロ人材だからこそ可能になった“介在価値”とは

こうしたS氏の支援もあって、当初定めた期間内にCCSに関わるアミン類分析を確立、さらにPFAS分析のISO/IEC17025認定についても2023年9月に取得し、無事目標を達成することができた。
さらにS氏の取組み成果はこれらだけに留まらず、副次的な効果ももたらした。
山本氏がプロジェクトを振り返る。

「長年研究職で実績を積まれてきたS氏ですが、メーカーでの在籍経験からでしょうか、研究面だけでなく生産面に対しても非常に高い意識を持たれる方でしたね。
例えば、“ひとつの分析を仕上げるまでの時間を短縮できれば、その分より多くの分析を試せる”という観点から、時間当たりの処理量や生産高を表す『スループット』という言葉を頻繁に用い、チームみんなで意識しあっていた事がとても印象的でした。
それは我々の期待以上の出来事。生産面からの観点でより市場競争力を高められるような分析メソッドについてのアドバイスも頂けたのは、本当にありがたかったですね」

こうして、アミン類分析法の開発とPFAS分析のISO/IEC17025認定取得という目標を達成した同社では、次の目標として、新たに導入した分析機器「LC-QTOF/MS(液体クロマトグラフ-四重極飛行時間型/質量分析装置)」をもちいて検査分析領域を”環境”以外にも拡大すべく、新規サービス・新規メニューの開拓も始めている。
今後のビジョンについて石高氏はこう語る。

「実は、これまで当社が実施してきた環境DNAなどのバイオ関連分野や微量分析分野は、代謝物質などを対象とするライフサイエンス分野と共通のリソース(分析装置や設備)を使用します。これまで培った経験と技術を活用し、こういった環境から幅出しできる新分野にも積極的に挑戦していきたいですね」

市場調査を基に検討の上、事業計画成立の見込みが立てば、本格的に新プロジェクトを開始していく予定だ。
実はS氏は、このライフサイエンス分野における分析・開発経験も有している。同氏の豊富で多岐にわたる知見は、同社にとって頼もしい限りだろう。
今回のプロジェクトを通じ、当初想定していたミッションに留まらず、新たな分析分野の開拓への手応えをもった同社。そのきっかけづくりとして、S氏による第三者からの視点やアイディア、働きかけが大きく機能したであろうことがおふたりの話からもうかがえる 。

これまで培った自らの強みと向き合い、そしてそれを活かしての、飽くなき探求。
プロ人材としての介在価値は、そんなマインドや姿勢にも大きな刺激をもたらしたに違いない。

企業名
中外テクノス株式会社
設立
昭和28年(1953年)9月19日
従業員
1,012人
売上
168億円(内、環境事業部 68億円)
事業内容
環境調査・分析・コンサルタント・ソリューション
資源・廃棄物コンサルタント
建設コンサルタント
構造物調査
材料強度調査
CAE解析
制御システム開発
環境バイオ研究開発支援
非破壊検査
品質検査装置・自動化装置の製造・販売・サービス
医用設備の製造・販売・サービス
計量器メンテナンスサービス
機器(情報・産業・医用)の販売

担当プロ人材より

中外テクノス様は環境分析分野において大変高い技術をお持ちで、特にシステム化されたラボにおける試料前処理技術に優れ、顧客満足度の高い解析結果を提供されています。
PMが全ての目標・課題をしっかり把握され、部下への的確な指示を出されており、コンサルタントとしては進捗がスムーズに実現できます。
注力している点は、技術が高いがゆえに多くの業務を自社にて実施される傾向が強いので、外部の機能を有効に活用するマーケティングシステムの構築を目指しています。
現在は第二弾の新規事業構築を開始され、コトラーのマーケティング・マネージメント理論に基づいたガイディングを行なっており、アンゾフの成長マトリクスを用いて「既存」「新規」×「製品」「市場」に基づいた長期戦略を、明確な定量的ビジョン作成と共に進めています。

登録プロ人材 S氏(60代) 医学・生化学分野の臨床解析技術の研究職を務めた後、海外子会社への出向において営業・サービス・HRを経験。独立後は創薬及び臨床開発支援事業のビジネスディベロップメントと研究プロジェクトのプロジェクトマネージメントを行う。主たる顧客は製薬・医療・環境・食品分野の企業・大学及び研究所。

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