プロ人材紹介

本間 周二

得意分野:
システム

多数のITプロジェクトの経験を元に、ビジネスにおける本質的な問題解決を支援

PROFILE

1989年にエンジニアとしてCSK(現SCSK)に入社。10年間でプロジェクトマネージャーを40数件経験し、全件で収益を確保。その経験を活かし、定量データ活用/品質改革を担当、5000名組織で科学的プロジェクト管理の仕組みを確立。その後、ハイリスクプロジェクト専属PMOとして複数案件の立て直しを経験。2004年 情報処理推進機構/ソフトウェアエンジニアリングセンター(IPA/SEC)の立ち上げから研究員として関わり、国内随一の定量データ活用基盤を構築。2008年、日本HPに移り、生産技術部長/全社改革チーム責任者を担当。2013年、株式会社シーズメッシュを設立し、コンサルティング&プロデュース事業を展開中。

震災を機に、独立を決意

2013年に独立をする前は、3つの企業・団体でプロジェクトマネージャー(PM)やスタッフ部門、研究員、マネージャー職を経験しました。まず、1社目のCSK(現SCSK)では、エンジニアとして約10年間でPMを40数件経験しました。その後、定量データ活用/品質改革を担当していた時に、当時の役員に社内で培ったノウハウを全て外部に公開するようにと言われ、2004年にソフトウェアエンジニアリングセンター(IPA/SEC)の研究員として、「ソフトウェア開発データ白書」の発刊に携わることになりました。その後は日本HPに移り、生産技術部長や全社改革チーム責任者を経験させていただきました。

独立したきっかけは2011年に起きた東日本大震災と、父の他界です。私は福島県出身ですが、震災で見慣れた光景が一瞬にして変わることを目の当たりにし、例えようのない危機感を覚えました。その3ヶ月後に今度は父が亡くなり、喪失感が加わってボロボロになりかけました。父は医師として、亡くなる直前まで自分の仕事を全うした人だったので、どん底の中で、「自分もそのようにありたい」と強く思ったことが独立を考えるきっかけになりました。

とはいえ、独立する上で必要なスキルが全くなかったので、父が他界した10日後に経営大学院に入学することを決めました。大学院に行きながら、自分の何が世に貢献できるか問答を繰り返した結果が、学生時代に美術を学んでいた経験を生かした「アートとサイエンスの融合」でした。その後、準備期間を経て、大学院在学中の2013年にコンサルティング&プロデュースを行う会社(シーズメッシュ)を立ち上げ、現在に至る形です。

起業当初は、印象マネジメントやIoT×デザイン思考といった切り口でビジネスを立ち上げ、展示会などへも出展し、多くの企業様に前向きな反応をいただきましたが、なかなか事業として成り立つレベルには繋がらない状態が続きました。この時は本当に苦しかったですね。

起業して3年目に、事業を再構築すべく前職までの経験を生かしたコンサルティング領域に舵を切りました。その際、起業したときと同じように、世の中に対する貢献を考えた結果、IT業界の抱える問題が、3年前とほとんど変わっていないことに気づき、この問題解決に尽力したいという思いが強くなりました。事業においては、比較的大きな企業様をターゲットにしたかったこともあり、営業代行的な役割も期待してHiPro Bizにプロ人材として登録し、事業の転換をゆるやかに図りました。

案件支援の中で感じたこと

HiPro Bizに登録をしてから現在までは、おかげさまで多くの企業様の支援をさせていただいております。最近は、大規模システム開発や事業戦略策定などの案件に関わるケースが多いのですが、長いお付き合いの企業 になると、徐々に本音ベースの話ができるようになってきて、コンサルとしてのやりがいを感じているところです。

中でも特に印象に残っているのは、大手電子機器メーカー様で十数億円規模のシステム開発プロジェクトに約2年半関わらせていただいたことです。この案件では、ごく初期の見積りや提案をチェックする段階から最後のテストフェーズまで、フルに支援させていただきました。

企業の皆さまは、お一人お一人、優秀な方ばかりで、企業としてのバックアップ体制もありましたが、大規模プロジェクトの運営には不安を抱えていらっしゃいました。大規模プロジェクトはその特性上、管理下にチームが多数あり、階層も多段階となるため、関係者間(経営、現場、協力会社、お客様、チーム間など)には隙間(コミュニケーションギャップ)ができるのが通常です。この“隙間”が、大規模・複数プロジェクトにとっては命取りになるため、私は「隙間のマネジメント」に軸足を置き、課題とリスクに対するアクションを指揮する立場で支援を行いました。「隙間のマネジメント」という言葉は、ここからは私独自の言葉で「ガバナンスマネジメント」と呼びます。

現場の方はどうしても自分のチームの業務のみに目が行きがちなため、私は俯瞰的にプロジェクト全体を見渡し、「今週のトップリスク3つはこれ」「対処すべきアクションはこう」というガバナンスマネジメントの動きを終始一貫して行っていた形です。

企業側の皆さまの最初の反応は「え?なぜ今そのアクション?」といった感じでしたが、私は淡々とガバナンスマネジメントを続けました。ある時、3ヶ月前に対策しなかったことが問題化したことがあり、企業の皆さまの反応が、「このコンサルの指摘は合っているのかも」に変わっていったことを覚えています。私としては、3ヶ月先に起きる問題(リスク)を見て対処を示していたつもりだったので当たり前のことだった(笑)のですが、それでも企業の皆さまから徐々に信頼を得ていく過程は嬉しかったですね。もっとも、外部の者の発言をお客様が好意的に受け入れてくださったことが、よい関係を築けた1番の理由かもしれませんが。

こうした全体を俯瞰する動きやリスクマネジメントにはかなりの手応えがありました。少なくとも、リスクの対処を続けた結果、大失敗を回避することに繋がり、信頼関係も得られたので、「自分ができることで世の中に貢献する」という、起業のときの思いが少しは形になったと思います。
この支援は、私自身、起業後に関わらせていただく初の大規模案件で、自社のノウハウ蓄積にも繋がったこともあり、今でも本当に感謝しております。

支援において大事にしていること

企業様の支援をさせていただく中で、私が大事にしていることは大きく3つあります。

1つ目は「適切なタイミングで課題やリスク、その解決策を示すこと」です。
たとえば、マラソンのランナーのサポートをしている状態をイメージしていただくと、スタート直後に栄養補給のバナナを渡されても困るのではないでしょうか?(笑)ランナーは走ることに全力を傾けているので、給水ポイントは適切な間隔で配置してほしいですし、テーブルにただ水を並べればよいというわけでもありません。支援の話に戻すと、適切なタイミングで、「今だったらこれを言ったほうがいい」「今週、知識としてインプットしてほしい本はこれ」というようなことを、素早く示せるよう心がけています。

2つ目は「自分が提案したい内容を最初からアピールしないこと」です。
私はまず、相手が困っていることをじっくり聞きます。そして困っていることの本質が何かをしっかり掘り下げます。私はシステムの会社にいたので、「このシステムを導入すれば問題が解決します」という売り込みの場面をよく見てきました。しかし、企業が抱える課題というのはそんな簡単なものではなく、何が根っこにあるのか、どういう順番で対処すればよいのかを、労を惜しまず掘り下げることが本当に必要です。例えるなら、お医者さんが患者さんの顔を見るなり薬を処方しないのと同じレベルのことですね。

3つ目は「言語化、数値化、可視化を丁寧に行うこと」です。
私は支援の中でホワイトボードをよく使います。自分のマーカー(5色3種類)を持ち歩いて、感覚や雰囲気の話になった時に、図表や絵、言葉、数値、方向感などを全員が共有できる形で書き留めます。たとえば、定例会の際に決定事項が曖昧にならないように書き出す、誰が・いつ・どのようにやるのかを明確に示すなどです。特に大事なことは、ニュアンスも含め、その場ですぐさま共有し合意することです。

会話の空中戦による“認識のずれ”がトラブルの原因になることは明らかなので、これはもう徹底的にやります。同時に、コンサルとしての私がいなくなった後のことも考え、やり方もお伝えします。やっていなかったら「ここまでやるんですよ」「こうやるんですよ」「繰り返しやるんですよ」と、筋トレのトレーナーみたいに伝えていきます(笑)。それほど言葉や数値、形にすることは大事にしています。

以上が支援において私が大事にしていることです。当然ながら、支援は1回1回、丁寧にやりきることが大切ですので、毎回のご支援では、目的と進め方を必ず最初に握ります。「今日のゴールはこれで、目的はこれで、進め方はこうで、ゴールイメージはこんな感じですよ、合っていますか」と目線を合わせてから進めることが、古いやり方ですがもっとも重要だと思っています。

最後に、世の中には解決すべき問題がまだまだ沢山あって、小さな1つの取り組みでも、ちょっと掛け算を変えつつ、みんなが助かるようなことが出来たらいいなと常々思っています。先程の事例にあげたように、最初は少し不審がられても、気にせず先を見て、このままでは大きな溝に落ちちゃいますよとお伝えし、処方箋を丁寧に示して、皆が助かったという対応ができれば最高ですね。そのような支援を今後もできればと思っております。

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