プロ人材紹介

東野 敦

得意分野:
人事

時には経営会議にも加わり、社内政治や人間関係を乗り越えて大企業の人事制度改革を推進する「実行型」支援

PROFILE

富士重工(現SUBARU)、本田技研工業、江崎グリコなどに在籍し、人事領域における製造業のグローバル化や制度設計、タレントマネジメント、シニア活躍推進等において企画~実行までを担当。在職中にPeople Trees合同会社を共同創業し、2020年9月より独立。50社以上の人と組織の課題解決に伴走し、人事制度設計をはじめ、海外法人の人事面での支援、タレントマネジメントシステムやテクノロジー導入による生産性向上にも寄与している。

大手製造業で経験したグローバル人事の知見を幅広く展開

私は富士重工(現SUBARU)に新卒で入社し、営業職からスタートしました。とにかく車が好きで、SUBARUが好き。根っからの「スバリスト」だった私にとって、同じくSUBARUを愛するお客さまとの関わりが楽しくて仕方ありませんでした。

それがあるとき、人事へ異動することに。当時は若かったこともあり、当初は不本意な気持ちもあったのですが、人事を経験する中で「人の成長や組織の成長に貢献できる」仕事であり、それを本気でやらせてくれる会社なのだということが分かって、新たなやりがいを見出していきました。

その後は本田技研工業のグローバル人事部門で世界中の現地法人を支援し、江崎グリコでも5年間、人事の海外展開に関わりました。こうした仕事もとても面白かったですね。

2019年には現在代表を務めているPeople Treesを設立しています。当時は副業で始めた会社でしたが、コロナ禍を機に本腰を入れていたら、いつの間にか本業になっていました。日本の企業のために自分の経験を生かし、知見を提供したいという思いで支援を展開しています。

これまでの取り組みにおいて、私が特に注力してきたのはグローバル案件です。近年では、製造業だけでなく、コンテンツ産業などさまざまな業界が積極的に海外進出を進めるようになってきました。その際には、人事制度面でもローカルに対応していかなければなりません。

たとえば自動車産業の場合は、日本にコアな技術があるため、ローカルではそれに沿ってモノづくりをして販売すればよかった。人事制度を海外に展開する際にも、そこまで複雑なことは必要なかったんです。しかし近年伸びている産業は、必ずしも日本がコアになるとは限らず、ローカルごとに最適な展開をしていく必要もあります。簡単なテーマではありませんが、だからこそこの領域でお役に立ちたいと思っています。

大企業の「社内政治」や「人間関係の揺らぎ」を踏まえて制度導入・定着を支援

私が携われる案件の範囲は、人材紹介以外は全てです。よくあるご相談は、人事制度設計、適正な要員計画、タレントマネジメントシステム、人材ポートフォリオ関連、人事関連のデータ分析、組織開発などですが、直近では、複雑な人事制度の導入に関するご相談が増えています。

人事制度の刷新や新規導入では、大企業であっても途中で挫折してしまうことが珍しくありません。社内に抵抗勢力がいたり、担当者が異動や転職で抜けてしまったりと、いろいろな壁があります。正論だけでは物事が動かないこともあるでしょう。

私はコンサル出身ではなく、企業人事出身。大企業の社内政治の文脈を理解していますし、組織内の人間関係の微妙な揺らぎを見ることにも慣れています。こうした視点を持って制度導入や定着の支援を行っており、関わったプロジェクトでの制度導入確率はほぼ100%。長期のお付き合いになるケースも多いです。

また、私たちは、必ずしも生産性を常に優先するわけではありません。ときには非効率なことであっても、お客さまのためになるならやります。私たちがやりたいからやるんです。それがコンサルティングファームとの違いかもしれません。制度を策定しても、運用されなければ意味がないですから。

お客さまが実行に躊躇しているときには、私自身が経営会議へ参加し、社内からだと言いづらい説明や提案をすることもあります。突破口を作るためなら、どんな困難もいとわないつもりです。

「現実が見えない経営者」や「人に寄り添いすぎる人事」を正す

HiPro Bizを通じた支援案件では、地方の飲食店といった中小企業から従業員2,000人越えの上場企業まで幅広く対応しています。業種にも偏りはなく、どんな業界でも、そこに人と事業があれば対応できます。

たとえば飲食店経営企業では人事制度構築からスタートし、社員研修を経て、現在はチームごとの研修も実施しています。社長や店長と一緒に何年も動かしてきて、理念経営が浸透してきています。

一方、グローバル規模の企業も支援しています。海外駐在する拠点長向けの研修では、海外事業での戦略構築や現地出資者との交渉なども支援しています。

こうした支援においては、経営者や人事部門と向き合い、従業員との間で生じているギャップに気づいていただくことを重視しています。経営者は、自分の会社を愛するがゆえに周囲が見えなくなってしまったり、事業に集中し過ぎるあまりに人をモノのように扱ってしまったりすることがあります。事業戦略では数値目標を設定しているのに、「それを実現するために組織や個人に何を期待するのか」がすっぽりと抜け落ちてしまうことも。そのギャップを、懇切丁寧にフォローしなければなりません。

また、従業員が本当に熱狂してその企業ではたらいているとも限りません。実際には「待遇が良いから」「通勤がしやすいから」など、現実的な理由ではたらいている人が大多数です。だからこそ、経営側や人事は、シンプルで身近なモチベーションを刺激するようなアプローチをすべきだと考えています。

こうした「リアル」を、最近ではデータを使って示すことができるようになりました。たとえば、従業員がその会社に何を期待しているのか、どこに魅力を感じているのか、あるいはどんな不満を持っているのか。そうした情報をデータから明らかにして、経営と現場のギャップを可視化します。そうやってリアルを見ていくと、「会社の屋台骨となる事業部が、実は最もエンゲージメントが低い」ということも往々にしてあるのです。

人事は人事で、人に寄り添いすぎてしまい、事業視点を持てていないこともあります。そこは正しく指摘しなければなりません。また人事部門では「ダイバーシティを高めて……」といった世間の時流に乗った目標・施策を設定しがちですが、はたしてその目標・施策はどのように事業成長につながるのか。そうした会話を日々くり返しています。

人事が再びデータを持ち、主役となって戦略を推進する時代になった

近年、人的資本経営や戦略人事が重視される中で、企業の人事パーソンに求められる役割は高度化・複雑化しています。

私の若手時代は、人事といえば社内でも立場の強い存在でした。飲みの席やタバコ部屋で情報収集し、従業員の個人情報も熟知していた。データを持っていたからこそ、人事が異動を決めることができたし、大きな発言力も持っていたのです。ところがあるタイミングから、人事はコストセンターであり、補佐的な立場だとみなされるようになってしまいました。

それが今では、人事は再びデータを持てるようになりました。人的資本情報を市場へ開示しなければならないという外部の動きもある中で、人事が主役となって戦略を推進し、事業に貢献できる時代が来ています。だからこそ、人事パーソンには自信を持って取り組んでいただきたいと思っています。

これからの日本企業では、グローバル展開に伴うニーズがさらに高まっていくでしょう。特にこれまで海外駐在を絞ってきた企業に対しては、グローバル人材やローカル人材をフォローする支援に注力していきたいですね。

また、生成AIがここまで進化してくると、知識ベースのコンサルではなく、「人の心を動かして実行する」ための支援が本当に求められるようになるはずです。プランニングだけでなく、粘り強くさまざまな立場の人と対話を重ね、実行フェーズを動かしていく。そうした現場密着の支援を国内外で実現していきたいと考えています。

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